第239幕
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「兄さん!近藤さんたち帰ってきたよ」
『そうか。ならお茶ぐらい出してやるか』
「それなら僕が準備するよ!」
『ん、任せた』
近藤と土方は昨夜起きた事件の現場確認に駆り出されていた。
というか、近藤が昨日居なかったから連れていったの間違いか。
「おう!お疲れさん、海」
「そっちの方は終わったのか?」
『おかえり。いや、まだ終わってない。というより情報が少なすぎる』
部屋の襖が開けられ、顔を出したのは近藤と土方だった。いつもの様にバカ笑いする近藤と難しげな表情の土方。片方の顔から察するに現場の方でも犯人の足取りは掴めていないのがわかった。
朝、土方から山崎が集めた情報を整理するように頼まれていた。纏められた報告書は数枚しかなく、全部に目を通すのは楽だったが、そこから犯人の行方を導き出すのは無理な話。
集団で動いている攘夷浪士であれば、目撃情報も増える。だが、今回の事件を引き起こした犯人は単独犯。痕跡も残さずどこかに身を隠されてしまっては見つけるのは至難の技だ。
「やっぱダメか」
『そもそもお前はこれに目を通したのか?』
「あ?受け取ってからはまだ見てない」
『……なら見ろ。これでどうやって犯人の手がかりを探せって言うんだよ』
廊下で突っ立っている土方の胸元へと山崎の報告書を叩きつける。渡された紙をおずおすと手に取り、土方は無言で中身を読み始めた。
『ところで、近藤さん』
「ん?どうした?」
『昨日どこにいってたんだよ。あれだけ電話したのにも出ないってどういうこと』
「えっ……えっと……それは……」
あはは、と笑いながら目を泳がす近藤に小さくため息を漏らす。
『またお妙さんのところに行ってたのか』
「い、いや断じて違うぞ!俺はパトロールしてただけだ!」
『あんたのパトロールはストーカーって言うんだよ』
しどろもどろになりながら言い訳をする近藤を無視して土方の方へと目を移すと、報告書を見たままプルプルと小刻みに震えているのが見えた。
「今すぐ山崎を呼べ……書き直させる」
『無理だろ。もうアイツの頭の中、バナナしかねぇよ』
報告書の一枚目は犯人に関する情報だったが、二枚目からは全部"バナナ"の文字ばかり。
山崎に報告書を書かせるのはもうダメかもしれない。
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