第238幕
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「あの男の気を引くためかは知らんが、下手な芝居はやめた方がいい。見ていて不愉快じゃ」
『それは悪かったな。別に意図してやってたつもりはなかったけど』
「相手の表情を伺いながらやっていたくせにか」
『いつ気づくかなと思いながらな。途中からは気に入ったから頼んでたけど』
居酒屋でのイカ焼きの件。最初こそは銀時の気を引こうかと何度も同じものを注文しては食べていた。それも四皿までは。そこからはただ単純にイカ焼きが美味くて頼み続けていた。子供みたいな真似をしている自分に呆れたというのもあったし、いつまでも気づかない銀時に期待するのをやめたというのもある。
「おまんはガキか」
『たまにはな。好きなやつは困らせたくならねぇ?』
「限度を知れ。お前がやってるのはただの迷惑だ」
『あの店のイカまだ残ってるかね』
手土産にとイカ焼きを持たせたのだ。海が全部食い尽くしたわけではないだろう。でも、今日のイカ焼きの売上は過去一のはず。店からしたら売ってなんぼなのだから迷惑はかけていないと思いたい。暫くはイカ焼き作るの嫌だと思うけど。
「見た目に合わず、ねじ曲がった性格じゃな」
『人を見た目で判断すると後悔するぞ。かといって相手に踏み込みすぎてもな』
「お前との関係は見直した方が良さそうじゃ」
『そうした方がいいと思ったのであればそうすればいい。まぁ、また助けが必要であればいくらでも助けてやるよ。辰馬の面倒見てもらってるわけだし』
「おまんの手を借りないようにするぜよ」
『これは大分嫌われたかな?』
嫌なものを見る目で陸奥は海を見る。いつも無表情な彼女がこれ程まで表情を歪めているのだ。かなりご立腹の様子。
「海!!帰るぞ」
不意に銀時に呼ばれて目線を下げる。辰馬との会話が終わったのか銀時はこちらへと手を振っていた。
『さてと……じゃあ、俺は行くから』
「とっとと船から降りろ。わしらももう出る」
『貿易船は忙しいことで』
「警察の仕事に比べれば大したことじゃない」
『あ、そう。ならいいけど。身体には気をつけろよ』
「言われなくとも」
早く行けと急かされ、海は苦笑を漏らしながら甲板から飛び降りる。下にいた銀時が慌てながら海を受け止めた。
「危ねぇだろうが!怪我したらどうすんだよ!」
『あれくらいなら大丈夫だろ。それに……』
「それに?」
『下に銀時がいたからなんも問題は無い』
「信用が重いんですけど」
『そこは喜べよ』
「はいはい。信用してくれてありがとうございます」
『ん、さんきゅ』
「……今のはデレたの?久しぶりのデレタイム??」
『頭かち割るぞ』
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