第238幕
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「手間をかけたな」
『別に。そんなに手伝ってないから』
辰馬を救出したあと、快援隊の船員からとても感謝された。辰馬を助けたことの礼ではなく、奴隷船の艦長たちを追い払ったことについて。
自分たちの艦長が人質にされていたというのに、彼らは不安になる事もなかった。むしろバチが当たって当然だと笑って。
『これからも辰馬のことよろしく頼む』
「次会うときは身体の何処かがないと思え」
『それ主に股間だろ』
宴会だと騒ぐ船員たちを背にして海と陸奥は船から銀時と辰馬を眺める。
『アイツの手綱を引けるのは陸奥くらいだから』
フラフラしている辰馬を毎回見つけては船に引き戻すのは大変なことだろう。今回みたいに銀時や海を頼れればいいものの、地球の外へ出てしまってはそれもできない。彼女が優秀なのは経営戦略だけでなく、艦長の監視もだろう。
「昔はおまんらもあのバカの世話を焼いていたんだろう」
『焼いていた、というより焼かれていたの方が正しいのかもな』
「あのバカが?」
『それくらい殺伐としてたんだよ。辰馬くらいの空気読めないヤツがいないともたないくらいに』
戦場でゲラゲラとでかい声で笑っていたのは辰馬くらいだ。みんな死にそうな顔して立っていたのに。辛気臭い雰囲気をぶち壊しては、他の奴らを無理矢理笑わせてた。
『笑う門には福来る、ってな。そう言って鼓舞してたんだよ』
「アイツらしいな」
『今も変わらないみたいで良かった。辰馬からバカが無くなったらアイツ何も残らないだろ』
「股間だけは生きちょるじゃろ」
『お前、どんだけ深い恨み持ってんだよ』
「あのゆるゆるのせいで今まで苦労したんじゃ」
『それは……なんというか』
海が謝る必要はないのだが、つい申し訳ないと呟いた。陸奥はこちらを一瞥しただけで何も言わなかったが。
「それよりお前、あんな態度を取っていたらいつか愛想尽かされるぞ」
『……それはなんの事で?』
唐突に変わった話にとぼけたフリをした。そんなの陸奥に通用する訳もなく、淡々と話は進んでいく。
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