第237幕
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「アイツの言う通りだった。なんともつまらん家業、なんともつまらん人生。海賊の子として生まれ、海賊として育ち、言われるがまま仕事をこなす。わしの行いで誰かが笑うことなどなかった。商いとは人から何かを搾取すること。そう思っちょった。人に何かを与える商いを見たのは初めてだった」
『で?昔より今の方が楽しいってことか?』
敵船へと足を踏み込むと同時に陸奥に問いかける。
「そうでもない。あの男の舵をとるのに苦労しとる」
『そりゃ頭のネジ数本飛んでってるようなヤツだからな。でも、お前は辰馬について行くことを選んだんだろ?』
帰る場所が無くなったから仕方なく辰馬の元に居たというのもあるだろうけど、陸奥ならどこへ行ってもやれたはずだ。それでも辰馬と共に商売をしている。
『まぁ、楽しんでいるなら何よりじゃねぇの?きっと辰馬もそう思ってるだろ』
「わしは何も言っとらん」
ふいっと顔を背けた陸奥。銀時と海は顔を見合せて静かに笑った。
「んで?この状況どうするよ」
敵艦に潜り込んだはいいものの辰馬の姿はどこにも無い。
探そうにもあちらこちらから敵がわんさか出てきていて、船の中を歩くのにも苦労する状態。
「ヤツら形勢不利と見てバカを連れ離脱するつもりかもしれん。おまんらは甲板を捜しちょくれ!」
スタスタと歩いていく陸奥が向かう先に敵の気配を感じ、海は慌てて陸奥の後を追った。
「海!おま、どこに──」
陸奥と共に中へと侵入した瞬間、分厚い扉が閉められた。
「なんでついてきた」
『人より気配を読むのが上手くてな。コイツらが待機してるのがわかったからつい』
「確かお前は前にも同じようなことをしていたな」
だいぶ前の話だ。エリザベスが行方不明になったとき、似たようなことをしたことがある。その時はバカにするなと断られた。
『今回は諦めてくれ。もうついてきちゃったから』
鞘から刀を引いて切っ先を天人たちへと向ける。無闇に斬り殺せばあとで問題になるかもしれない。相手の命を奪うことなく戦意だけを削ぐには腕の一本、足の一本を犠牲にしてもらう必要がありそうだ。
「足を引っ張るなよ」
『了解』
飛びかかってくる天人たちを見据えて海は刀を振り下ろした。
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