第237幕
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「それで無理矢理連れてきたのか」
「無理矢理じゃありませんー。ちゃんと言いましたー」
相変わらず何を考えているのか分からない顔をしている陸奥にじっと見られる。
お猪口の中身をグイッと一気に飲み干し、隣に座っている海へと目を向けた。
もぐもぐとひたすら食べている姿はリスのようで可愛らしい。
「それそんなに美味いの?」
海が夢中になって食べているのはイカ焼き。仕事してたんだからもっと腹にたまるものを食べればいいのに、海は先程からこれしか食べていない。
『イカが美味い。気になるなら食べてみるか?』
「いいの?」
『ん、』
差し出された皿からイカ焼きを一つ貰って口の中へと放る。あまじょっぱいタレに付け込まれたイカはとても美味しくて、一つだけでは物足りないと思ってしまう。
『食べるなら食べていい。そろそろ顎が痛くなってきた』
「食べ過ぎなんだよ。これ何皿目?」
『八皿目。もうご飯食べたい』
「食いすぎだろうが!ちゃんと飯を食え、飯を!」
おやつで腹を満たそうとする子供に叱る親のように言うと、海はむっと拗ねた表情。
『美味かったんだから仕方ないだろ。ちゃんと飯も食うから問題ない』
「お前というやつはほんとに……まったく」
メニュー表を手に取って悩み始めた海を見て銀時は頭を抱えた。
「おまんらは恋人というより親子じゃな」
「はぁ?誰が誰の親だ」
「はたから見たらそう見える。桜樹がこんなに子供っぽいとは思わなかったが」
「子供っぽい?これのどこが。性格ねじ曲がった大人だろうが」
「見た目の話じゃなか。中身の話ぜよ」
「中身ぃ?それこそ違うだろうが」
「おまんは気づいてないのか。そいつはさっきから──」
『決めた。焼きそばにする』
とん、と海が陸奥の言葉を遮るようにメニュー表をテーブルに打ち付ける。陸奥は海の方をちらりと見たあと、真顔でお猪口に口をつけた。
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