第237幕
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いつもの巡回中、ふらりと銀時が海の前に出てきた。
側に神楽や新八がいない所を見ると、一人でフラフラと出歩いていたのだろう。だとしたらまたパチンコにでも行っていたのかもしれない。
ちゃんと仕事をしろと文句を言おうと口を開こうとしたが、それよりも先に銀時が喋りだした。
「ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけど……今暇?」
『これが暇に見えるなら一度眼科に行った方がいいんじゃないか?』
「どうせそこらの盗人を追いかけてるだけだろ?なら暇だな」
『勝手に決めつけるな。巡回が終わったら溜まってる書類も片付けたいんだよ』
暇人に付き合ってる暇なんかない。そう返して銀時の横をすり抜けようとしたが、ガシッと腕を強く掴まれて足が止まる。
「ちょっとだけだから。ね?探して欲しいヤツがいるんだよ」
『探して欲しいやつ?』
「そ。海もよく知ってるやつだから」
『誰だよそれ』
「それは──」
聞くべきではなかった。そうすればまた巻き込まれることは無かったのに。
銀時がニヤッと笑った時に気づけば早く屯所に帰れた。
そう思っても全て後の祭り。後悔先に立たず。
次からは銀時の話を聞かずに逃げ出そうと思う。
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
『……お前一人で探せただろ』
「絶対やだ。アイツに関わるとめんどくせぇんだよ。今までだってそうだろ」
『それに巻き込まれてる俺はどうなるんだ。辰馬だけでなく、銀時にも警戒した方が良いか?』
「ヤメテクダサイ」
銀時が探している人物は辰馬の事だった。銀時の方も辰馬の部下である陸奥から頼まれたらしく、かぶき町をフラフラとしていたらしい。その途中で巡回していた海を見つけて巻き込んだ。
『で?頼まれ事はもう終わったんだろ?』
「一応?これから飯食いに行くからおいでよ」
『仕事が残ってるんだよ。飯はお前らだけでいけ』
「ふーん?仕事なら仕方ないか。じゃあ、"陸奥と二人で"行ってくるわ」
『あぁ、行ってらっしゃい』
ひらっと軽く手を振って銀時に背を向ける。
「ちょっと待って!?そこは引き止めてくれない!?お前心配じゃねぇの!?」
『何が?』
「何がってそりゃ……飯食いに行ったあとに流れでみたいな……」
『勝手にすればいいんじゃねぇの?』
「え……いや、お前…」
『別に銀時がしたいならすればいい。俺は文句言わないから』
気にしてない。と付け足すと銀時は目を見開いて固まる。
『俺は屯所帰るから。陸奥によろしくな』
「待って。帰るな」
『なんだよ』
「なに?海くん嫉妬しないの?普通怒るんじゃねぇの?女と飯食いに行くって言ってんだよ?」
『いつもの事だろそんなの』
「は……?」
銀時が女性と二人きりになるのはよくある事だ。それが食事だけなのか、それとも別のことをしているのかまでは知らないけれど。
『慣れた。だから気にしてない』
「まじかよ……そこは気にして欲しいんだけど。逆に海が女と二人きりなんてイヤなんですけど」
深くため息をつく銀時に首を傾げる。
むしろ今まで気にしていなかったのだろうか。
『(嫉妬するのに疲れた、って言ったらどうなるんだコイツ)』
うーんと唸る銀時。その後ろでバッグに詰められた辰馬がゲラゲラ笑いながら船員に連れていかれているのをじっと眺めた。
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