｢いい加減にしてください！僕のいない間に勝手にぞろぞろ男を連れ込んで！銀さんにも土方さんにも海さんにも、そしてどざえもんさんにも渡したりしませんよ！姉上はこの僕のものです｣


襖を開け放って現れたのは新八だった。いつもの服装と度を超えた姉好き発言に銀時は元に戻ったのかと喜んだ。


｢元に戻ったのか！｣


『……なんか気持ち悪さが増してないか？』


｢何言ってんだよ。新八はいつもこんな感じだろうが。あいつはお妙の事となると気持ち悪いんだよ｣


『よくわかんねぇけど、姉弟ってそういうもんなのか』


｢いや、違うと思うけど。つか、人のこと言えねぇだろ。お前んとこのヤツだって新八とあんま変わらねぇよ？｣


『朔夜はあんな気持ち悪くねぇよ。一緒にすんな』


朔夜は自分に対して新八のようなことは言わない。


その代わりに憧れの眼差しで見られるのが少し恥ずかしいけども。


｢お前が気づいてないだけで朔夜も大概よ？隠れてコソコソやるタイプだよ｣


『んなわけあるか』


｢気づいてないのがなによりの証拠じゃん。言っとくけど、海以外は皆気づいてるかんね？｣


不意に銀時は隣に立っている土方へと目を向ける。話を聞いていた土方は頭に手を当てながら頷いた。


｢あぁ。お前は知らないだろうが、朔夜はそういうやつだ。兄貴大好き人間だぞ、アイツも｣


『だからなんだよ。誰かに迷惑かけてるわけじゃないだろ』


｢いや、俺が主に迷惑かけられてるからね！？会う度に俺文句言われてるからね！？｣


『それは銀時が朔夜に何かしてるからだろ』


｢してないから！何もしてないのにアイツはいつも突っかかってくるから！！｣


そんな訳あるか。理由も無しに朔夜が銀時に喧嘩を売ることなんてないはず。大体、朔夜がそんな事をしているところなんて見たことがない。


攘夷浪士たちを煽るような言葉は聞いたことはあるけど。


｢フィルターだ……｣


『は？』


｢お前フィルターが掛かってんだよ……。可愛い弟っていうフィルターが｣


何故か銀時に哀れみの目を向けられる。その意味がわからなくて、海は首を傾げた。



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