第261幕
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「ごほん。だからなんだ、海が攘夷志士だったとしても俺らの仲間には変わりないって話」
「大体そんなもん今更だろう。いつの話してんだ」
古い話を今持ってくるなと言わんばかりに土方はやれやれと頭を振る。
『なんだその態度。ちゃんと話しておかないとダメかと思って覚悟決めて話してるのに』
「そんな覚悟いらないだろ。話したかったら話せばいい。俺らはいつでも聞くつもりでいた」
「トシは気になってたからな!こいつなんか気になってても自分から聞けなくてソワソワしてたんだぞ?海がいつ自分のことを話してくれるかってよ」
「バッ……!何言ってんだ!べ、別に気になってたわけじゃッ!」
『話したところでだろ。今だからこそ腹割って話せるけど、隊士としてじゃ何があるか分かんねぇから話せねぇって』
「そりゃそうだよなぁ。ずっとトシに監視されてたから警戒心も強くなるだろうし」
「なに?俺が悪いの?俺が全部悪いの??元はと言えば海を拾ってきたときに聞いてればこうはならなかっただろうが!」
「だって昏睡状態だったやつに聞くわけにはいかないだろ?トシも武州にいた時に聞けばよかったじゃねぇか」
「そ、れは……こいつが自分から話すもんだと……」
「話してもらいたかったんだろ?こっちから聞くんじゃなくて、海が自分で俺たちに」
「うるせぇ」
ぷいっと顔を逸らした土方に近藤は苦笑を漏らす。
「ということだ。トシも俺も気になってたけど自分から聞く勇気はなかったんだ。だから海が話してくれるまで待とうってなった」
『そう……か』
「海が話してくれて嬉しいよ。俺たちのことを信頼してくれてるってことだろ?」
『信頼してたならもっと早くに言ってた。言う機会はいくらでもあったんだ。でも、話したことで近藤さんに迷惑掛けるのも、自分の素性を知られて剣を向けられるのも……』
「でも今はこうして話せてる。迷惑なんて掛かってねぇし、海に刀を向けてない。なんなら笑い話にしちまってる」
『うん……』
「沢山悩んで決めてくれたんだろ?ありがとな、海」
普段と変わらない笑みでお礼を言われる。なんだかこれまで悩み続けたのが馬鹿みたいに思えてしまうほどあっけなかった。
もっと早く話していれば。彼らと変に壁を感じなくて済んだかもしれない。それだけが悔やまれる。でも、これからは近藤たちをまっすぐ見れそうだ。
『こちらこそありがとう』
ずんっと重石が乗せられているくらい胸が重かったが、今は全てさらけ出せて軽い気分。ほっと息を吐いて口にした感謝の言葉と共に緩く笑みを浮かべると、土方が口をぽかんと開けて顔を真っ赤にした。
「お前……なんつう顔して……」
『なんだよ。そんなに変な顔してたか?』
「はははっ!トシ、お前顔真っ赤だぞ?」
吸おうと取り出していた煙草を畳の上に落として固まる土方の背をバシバシと近藤は叩く。何がそんなに楽しいのか分からず、海はただ首を傾げた。
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