第260幕
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「海!!」
母親の生家を調べるのにどうしたらいいかと銀時たちと話し合っていた所にバタバタと走る音が聞こえてきてその先へと皆が目を向ける。そこには血相変えて走ってきた近藤。
『近藤さん、無事だったか』
「お前こそ……!今までどこにいたんだ!」
『島に残ってた船でのんびり帰ってきた。近藤さんたちの船に奈落が追いかけて行ったからこちらは襲撃されること無く済んだ』
「そう……だったのか。良かった……無事でよかった!」
その場に泣き崩れた近藤の元へと歩み寄り、大丈夫だと肩に手を置く。その手をグイッと引っ張られて近藤の胸へと引き寄せられた。
「良かった!!本当に良かったッ!俺はてっきりもう戻ってこないかと」
『大丈夫だって。そんなに怪我もしてなかったし』
よかったよかったと泣きじゃくる近藤を落ち着かせようと背中を撫でたが、落ち着くどころかヒートアップしていく。この状況をどうすればいいんだと苦笑いを浮かべた海の前に今度は土方が現れた。
「海……お前……」
『土方も元気そうだな』
「無事だったのか……」
『なんだよ。お前も俺が死ぬと思ってたのか?』
「いや、お前がそう簡単に死なないことは知ってる。だが……」
『悪かった。心配……かけたな』
言葉では大丈夫だと言っているが、土方の表情は暗く今にも泣き出しそうな目をしていた。それほど心配かけてしまったのだと思うと申し訳なさが溢れる。
「無事に帰ってきたんだからいいだろ。そんな辛気臭ぇ顔しなくてもよ」
「そりゃそうだな」
銀時と土方が笑い合うのを見て驚いた。またいつものように喧嘩するのかと思っていたのに。
銀時と土方だけではない。近藤たちの後ろにこっそりと立っている神楽と総悟も今日はいがみ合う事無く何か話している。
『(俺がいない間に何かあったなこれ)』
それか今回の共闘によって互いに意識が変わったか。どちらにせよ顔合わせる度に喧嘩し合う二人の仲裁をもうしなくて済むという解放感に安堵したのと同時に少しだけ寂しさが残った。
何もかもが変わってしまった。真選組は解体されて新しい組織が江戸に作られる。これまで江戸を守り続けてきた近藤たちは極悪人のような立ち位置となり江戸を追われる身。
これで本当に良かったのか。自問自答を繰り返すも納得はいかないままここまで来てしまった。
「海」
ハッとして顔を上げると不思議そうな顔をした銀時が海を見ていた。
「どうした?」
『いや、なんでもない』
「そ?……深く考えても分からねぇもんは分からねぇんだから。気にすんな」
わしゃっと乱暴に頭を撫でられる。
『何も言ってないだろ』
「顔が言ってる。これから先不安だって」
『別にそんな……』
「考えるなとは言わねぇけど。集中するとお前は周りを見なくなるから。たまには顔上げて見ろよ。そんなに悪いことばっかじゃねぇよ?」
言われた通り辺りを見渡してみると、皆晴れ晴れとした顔をしている。それはもう悩んでいた自分が馬鹿みたいに。
『確かに……そうだな』
「だろ?まぁ、海みたいに深く考えられねぇ連中ばっかってのもあるけど」
「あ?てめぇそれは誰のこと言ってんだ」
「そりゃ頭ん中マヨネーズ塗れの野郎でしょ」
「てめぇは糖分まみれだろうが!」
「マヨネーズに比べたら糖分の方がマシだけど?疲れた時には甘いものってのが鉄則だろう。マヨネーズなんてお呼びじゃねーんだわ」
「ふん。お前にはマヨネーズの良さが分からねぇだけだ!」
「分かりたくもねぇよ」
普通に話していたと思ったのにすぐこれだ。やはり彼らの関係は一筋縄ではいかないらしい。
『ふっ……ふはっ……お前らはなんですぐにそうやって言い合いに発展するんだよ』
アホなヤツら。そう言って吹き出すと土方と銀時はホッとした顔で微笑んだ。
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