第260幕
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『詳しいことは俺も分からないけど……どうやら母さんは奈落となんらかの関係があったらしい』
「あの人と奈落が?なんかの間違いだろ」
『俺も勘違いだと思いたいが……佐々木の言い方からして確実なんだろうな』
「まさか。そんなわけねぇだろ」
『銀、母さんが俺を連れてきた時のことは覚えてるか?』
「覚えてるけど……」
『その時何も言ってなかったか?思い出そうとしても嫌な記憶しか蘇らないんだ』
母親との思い出はそんなに多くは無い。共に暮らしていたのも十年も満たず、海は松陽の元に預けられてしまった。どれだけ幼い頃の記憶を辿っても母親との場面が中々思い出せない。思い出せるとしたら痛みや恐怖、そして自分を庇ってくれていた母の背中。
「海、無理に思い出そうとすんな」
『でも、何か手がかりがあるかもしれない』
「手がかりって言ったってなぁ」
うーんと唸る自分と銀時に新八たちは意味がわからず首を傾げる。
「銀さんは海さんのお母さんのこと知ってるんですか?」
「ああ。会ったことはある」
「どんな人なんですか?」
「海を女にしたみたいな人」
「なんですかそれ……」
「そのまんま。海にそっくり……っていうか、母親にそっくりなんだよ」
『そんなに似てるのか』
「母親の血を色濃く受け継いでる。あの男の影すらねぇもん」
両親のどちらかに偏るのは仕方ないのだが、父親と似ている部分がないとはっきり言われると少しだけ安心した。
「じゃあ、海さんのお母さんは凄く美人な方だったんですね」
「海のマミーはどこにいるアルか?」
『母さんはもう死んでる。確か墓は生家のほうにあるって言ってたか』
西ノ宮の言ったことだから信憑性は薄い。流石に遺骨をどうにかしようとは思わないはずだが、あのクズ男のことだ。生家に戻さずに……。
『……銀、嫁いだ人間の遺骨って普通生家に戻すか?』
「うん?どういうこと?」
『西ノ宮が言ってた。母さんの骨は生家の方にあるって。でも、普通は西ノ宮の墓を作るだろ。母さんはもう桜樹家を出ているんだから』
「そりゃまあ……え?じゃあ海の母さんの墓は何処にあるんだ?」
『墓参りに行こうと思ってたけど、その後に副長補佐についたから忙しくて確認に行ってないんだよ……』
そう思うと自分はなんて親不孝者なのだろうと思う。母親の墓に手を合わせに行くことを忘れていたなんて。
『まずは母さんの生家を調べるところからか』
奈落のことやらなんやらよりも先にまずは墓参りが先だ。こんなに遅くなってしまったのだからきちんとやらなくては。
「その……墓参りに俺もついて行っていいか?」
『銀も?そうだな。一緒に行くか』
「いいの?」
『断る理由はないだろ?銀時も母さんのこと知ってるから。顔出せばきっと喜ぶんじゃねぇかな』
「化けて出られるのは勘弁して欲しいけど」
『美人ならいいだろ』
「美人でもお化けは怖いんです!!」
銀時が行くなら自分たちも行きたいと新八と神楽も手を上げ、三人を母親の墓前へと連れていくことになった。
『朔夜はどうする?一緒に来るか?』
「兄さんのお母さんのところ?」
『そう』
「僕がついて行っても大丈夫なの?だって……」
『大丈夫だろ。化けて出てきたらちゃんと説明する』
父親の再婚相手の子供を連れていくなんて普通はしないだろう。でも、母親に紹介しておきたい。自分に弟が出来たと。そして母親の姓を使わせてもらってると。
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