第260幕
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騒々しい。その言葉に尽きる。
ドタバタと騒がしい足音と誰かの叫ぶ声によって目が覚めた。
薄らと目を開けると一面の白。そして枕とは違う弾力に頭を任せている。それが銀時の太ももだと気づいたのは頭上から銀時の声が聞こえたからだ。
「おい、お前ら静かにしろよ。起きるだろうが」
「だって兄さんが無事に帰ってきたっていうから!」
「そうアル!船に乗ってなかったからすっごく心配したネ!」
「まあまあ、二人とも落ち着いて。海さん疲れてるみたいだからそっとしておいてあげようよ」
「新八さんだってさっき涙目だったくせに」
「メガネのくせに生意気アル」
「メガネは関係ないだろう!?」
子供らの騒がしい声のせいでこれ以上は眠れそうにない。でも、このまま起き上がったらきっと飛びついてくるに決まってる。ここは狸寝入りしてしまおうと開けた目を閉じた。
「……今は寝たフリしてろ。起きたらもっと騒がしくなるぞ」
小声で聞こえた声に小さく頷く。起きていることがバレないようにしているのか、頭の上に銀時の羽織の袖が乗せられた。
「でも銀ちゃん、海帰ってきたけどまたどっか行っちゃうアルか?」
「さあな」
「近藤さんたちが江戸から離れるなんて……寂しくなりますね」
新八の言葉に耳を疑った。近藤たちが江戸を離れるなんて聞いていない。
『待て、それどういう意味だ』
「うわっ!海さん!?」
『江戸を離れるってどういうことだ』
ガバッと起き上がって新八を問い詰める。
「え、えっと……桂さんが土方さんに打診したみたいなんです」
『桂が?』
「はい。このまま江戸に居続けたら将軍様に殺されるかもしれないって」
『派手にやりすぎたな』
静かに近藤たちを救い出していればこうはならなかったかもしれない。だが、佐々木のせいで喜々に対して大打撃を食らわせた。今の将軍は信用性が無くなったも同然。あの男の顔に泥を塗ったのだ。血なまこになって近藤達を探しに来るはず。
『あの野郎……めんどくせぇこと押し付けやがって』
深くため息をつきながら銀時の足へと倒れ込む。唸る海を慰めるように銀時が頭を撫でたが、それくらいでは悩みは晴らせそうにない。
「お前はどうすんの?」
『どうするって?』
「……アイツらと一緒に行くのか」
江戸を離れて近藤たちと共に革命軍を蜂起する。土方がそう決めたのであれば海は彼らについて行くべきだ。
『いや、ちょっと調べたいことがある』
「調べたいこと?」
『最後の最後に意味深なこと言われてな』
佐々木が言っていたことが本当のことなのかを調べなくてはならない。別に母親が奈落に属していようがなかろうが海には関係ないことだが、一応調べておくだけのことはしておこうかと思った。
「意味深なことってなによ」
『それは後で話す。先に近藤さんたちに話をしにいかねぇと』
彼らについて行くことは出来ない。その事について話をしなくては。そう思って立ち上がった瞬間、横からどんっと飛びつかれた。
「なんで!?兄さんなんでついてきてくれないの!?」
『やることがある。調べ物が終わったら合流するから』
「そんなこと言って……何かあったらどうするの!?」
『何も無いだろ。それに俺も江戸にずっと居られるわけでもない』
「だったら一緒に行こうよ!その方が安全じゃんか!」
ぎゅうっとしがみついて離れない朔夜。どうしたものかと視線をさ迷わせると、銀時が朔夜の頭へと手を置いた。
「ずっとお前が帰ってくるの待ってたらしいよ。あのドS王子が困った顔で言ってた」
だから怒らないでやって?と言われ、朔夜を引き剥がそうとした手を止めた。
「調べ物ってなに?こっちで探すもんなの?」
『江戸じゃないと……いや、江戸から離れるかもしれないけど』
「詳しく話せないって?」
『……このメンツなら話してもいいか』
ここに居るのは朔夜と万事屋メンバーだけ。それなら佐々木から聞いた話をしても大丈夫だろう。
しがみついている朔夜をそのままに海は自身の母親の事について話し始めた。
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