第259幕
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「おい……海はどこにいんだ!」
「分からねぇ……奈落の砲撃を受けた時にはぐれたんだ」
「はぐれただぁ?!」
やっと近藤を見つけたかと思いきや今度は海がいない。土方に居場所を聞いても首を横に振って知らないと答えるだけ。
「海に……逃げろって言われたんだ」
「近藤さん?」
「上からの攻撃のあとに奈落が来て海が応戦してくれてな……この場は自分が食い止めるから逃げろって」
悔しげに近藤は呟いて俯く。海を置いてきてしまった事を後悔しているやつに文句など言えず銀時はギリっと奥歯を噛んだ。
佐々木も見つけ近藤も助けた。あとはこの島から脱出するだけだというのに。
「海ッ……」
ここにはあの男がいる。もし海とバッタリ会ってしまうようなことが起きてしまったら。
「俺が探してくる……お前らは先に行け!」
「だが周りは奈落の軍勢がいるんだぞ!?」
「それでも探すしかねぇだろ!アイツを置いて逃げるなんてこと出来ねぇ!」
「銀ちゃんそれなら私も海のこと探しに行くアル!」
「僕も一緒に行く!」
「お前らはゴリラと一緒に行け!ここから船までの間に襲われたらひとたまりもないだろ」
怪我人を庇いながら奈落を退けるのは難しい。土方や他の隊士たちがついていたとしても守り切れる確証はない。ついて行くと言っている神楽だって銀時を庇ったことで両手を怪我しているし、朔夜の方も疲れが見える。これ以上彼らを動かすわけにはいかない。
「行け。必ず見つけて戻るから」
「銀ちゃん……」
不安気な顔をする神楽の頭へと手を伸ばした直後、頭上からひゅるひゅると何かが落ちてくる音が聞こえて顔を上げる。
「神楽ッ!」
神楽の手を引いて砲撃から守るように抱きしめる。近藤らは大丈夫かと辺りを見渡すが、煙と火のせいで何も見えない。
「クソッ……これじゃ探しに行くのもままならねぇ!」
海を探しに行くか。それとも近藤たちを船まで護衛するか。ここで選ばなければならない。
「あのバカ!ゴリラを助けるためにここまで来たんじゃねぇのかよ!お前の大将はここに居るのにてめぇが迷子になってたら意味ねぇだろう!!」
迷っている暇なんてなかった。倒れている隊士に手を貸して起こし、銀時は船の方へ進むしかなかった。
「銀ちゃん!海は……」
「今は……アイツらを逃がすのが先だ!近藤が死んだらここに来た意味が無くなる!」
海を探しに行きたい。近藤は助け出したから早くここから脱出するんだと。もうこんな所に用はないから。
船まで走っている間に海の姿を探したが見つけられなかった。
「銀さん!これじゃ海さんを探しに行けないですよ!どうすれば……」
船が壊されればこの島から逃げられなくなる。そんなの分かってる、でも。
「銀ちゃん!!」
「置いて行けるわけ……ないだろ」
「……乗れ……早く乗れ!!」
「土方さん!海さんがまだなんです!」
「……っ……いいから……」
「良くないですよ!まだあの人戦ってるかもしれないんです!探して連れてこないと──」
「"何があっても近藤さんを守れ"それがアイツの言葉だ……!」
「そんな……!」
海を置いていく。土方はそう決断した。絶望する神楽と新八の横を通り抜けて銀時は土方の前へと立った。
「俺は降りる」
「島から脱出する方法はこの船しかねぇ!お前らをここに残して行けるわけ──」
「俺は降りるって言ってんだよ」
徐々に浮き上がる船から飛び降りようとする銀時の腕を土方は掴んで止める。土方に文句を言おうと口を開いたとき、神楽が何かに気づいて声を上げた。
「銀ちゃん!あれ!!何か飛んでくるヨ!!」
神楽が指さしている先から飛んできたのはキラリと光った何か。段々と近づいてきたそれは佐々木に襲いかかろうとしていた奈落の頭を貫いて船へと突き刺さった。
「こ、れは……」
「これ海さんの……」
船に突き刺さったのはボロボロになった刀。それは確かに海が使っていた刀だった。
そして鍔に結び付けられたもの。
「なんで……これをこっちに渡すんだよ……」
海の事を守ってくれるようにとあげたお守りが刀に結ばれて飛んできた。それは銀時たちが無事に江戸に帰れるように願ったのだろう。
「あのバカ……」
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