第258幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『なんだよ今のは……!』
「海!無事か!?」
『こっちは問題ない!そっちは──』
「斎藤!おい斎藤!しっかりしろ!!」
空から降ってきた大砲によって見廻組も真選組もみな爆風によって散り散りになった。近藤たちは大丈夫なのかと後方を振り返ると、そこには頭から血を流して倒れている斎藤の姿。
『さっきのでやられたのか!』
「海!斎藤がッ!」
『分かってる!でも、ここじゃ手当なんて出来ねぇ!』
早く止血をしなければ手遅れになる。斎藤も他の隊士たちも爆風で傷を負っていてまともに動けそうにない。かといって彼らを背負ってここから逃げ出すのは危険すぎる。
空から降りてきたのは大砲だけではないから。
『近藤さん!斎藤を連れて……怪我人を連れてここから逃げろ!』
「お前はどうするんだ!」
『俺はまだ動ける!土方や佐々木も見つけなきゃいけねぇし……それにアイツらの相手はアンタらじゃきついだろ』
前方から向かってくるのは奈落の集団。何故見廻組が奈落に対して敵対しているのかはわからない。だが、今はそんなことを考えてる余裕もなかった。この場から近藤を逃がすのが第一優先。
『早く行け!また次の砲が撃たれる前に!』
「海!!」
海を置いていくことに渋っている近藤に向けて口角を上げる。
『心配すんなって。こんな所で死にはしねぇよ。だから近藤さんも生きろ』
「必ず……必ず生きて戻れ!!」
『仰せつかりました』
部下たちに肩を担がれながら近藤はこの場を去り、海は奈落らと対峙する。囲うようにして立っている中に朧がいないことにホッと息を吐いた。
『アイツとやり合うのは面倒臭いからな居なくて良かった』
頭領でなければ問題ない。手にしている刀に力を込めて走り出す。向けられる錫杖をなんなく避けて一人ずつ首を跳ねていく。見廻組と違って彼らは人を殺すことに長けている奴らだ。そう簡単にこの場を離れられないとなると近藤たちの方が不安になる。早くこの場を片付けて近藤たちの後を追うべきだ。
『お前らに構ってる暇はねぇんだわ!』
一撃で急所を狙って確実に仕留める。ここに居るのは自分だけ。それならどんな動きをしたって誰かに咎められることは無い。
どれだけ暴れても誰の目には止まらない。
『遊んでる暇はないんだよ。だから早く死んでくれないか?』
頬から返り血を垂らし、刀の切っ先から夥しい血を流しながら海は笑う。対峙している奈落がズリっと後ずさった音が聞こえたのを最後に彼らは途端に静かになった。
.