第258幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『準備も済んだことだし……行くか』
隊士数人に見廻組の服を着させて松平を捕縛したように見せかけ、海と土方は相手を挟み込むようにして突撃する予定となった。
「おい、ヘマすんじゃねぇぞ」
『それ誰に言ってんだよ。こんなヤツら相手に俺が死ぬとでも?』
「……そりゃそうか。ウチの補佐は化け物級だからな」
鼻で笑う海に土方もほくそ笑む。いつでも行けると部下たちから報告を受けて土方は頷く。そして海ともう一度目を合わせて互いに頷いた。
「行くぞ」
『ああ』
土方は右側から海は左側から見廻組の中へと斬りこんでいく。
『こんだけの人数を相手するなんていつぶりだ?それこそ戦争以来だろ』
突然現れた海に驚きながらも見廻組らは果敢に向かってくる。そんな彼らを海はホコリを払うようになぎ倒していった。経った数分で辺りは既に血の海と化している。同じ警察に所属しているはずなのにこうも違うとは。これなら真選組の隊士たちの方が強い。
「き、貴様!」
『口動かすより手を動かせ。怒りに染まれば冷静さを欠く。今後に役立たせろ……と言っても無理か』
怒りで我を忘れて突っ込んできた男の腹へと刀を突き刺す。口から血を吐いて苦しげに海を睨みながら倒れていく男に海は冷たく言い放つ。
『向こうは大丈夫そうだな』
真選組と見廻組で乱戦状態になっているが、近藤と桂は上手く取り戻せたらしい。桂はエリザベスに背負われ、近藤は土方が盾になっている。そうなれば後は周りの奴らを片付ければいいだけ。
『斎藤、土方は佐々木の相手してるみたいだから俺たちで近藤さんカバーするぞ』
"はい!"
『……お前はこの状態でもそれを貫くんだな』
襲ってくる輩を振り払いながらも斎藤はパッと紙を出す。咄嗟に書いたはずなのに字はズレることなく綺麗に書かれていた。もしかして最初から用意されていたのかと言うくらいの周到さだ。
『近藤さん、俺たちから離れないようにしてくれ』
「海!お前……!」
『遅くなってごめん。ちょっと色々あって』
「色々ってなんだ。まさかお妙さんに何かあったのか!?」
『あんた自分が死にかけてるってのに人の心配かよ。流石ストーカーだな』
「断じて俺はストーカーではない!愛の戦士と呼んでくれ!!」
『それだけ叫べるなら元気だな。お妙さんならここに来てるよ』
「えっ!?なんでお妙さんがここに!」
『みんな心配してるんだよ。ゴリラが野生化したらどうしようって』
──海くん、あの人野に放たれたらどうなっちゃうの?
──いや、野に放たれたというか檻に入れられたというか。
──心配だわ。よそ様にご迷惑かけてなければいいけれど。
──心配かける以前によそ様いないから。あ、いやいるのか?他の囚人が。
『って』
「どんな心配の仕方!?野に放たれたゴリラって俺のこと!?」
『あんたしか居ないだろ。ゴリラは』
万事屋から新八を送った時にお妙に聞かれたこと。ゴリラは無事なのかと聞かれて海は正直に話した。ストーカーといえどもこれまで関わりのあった人間だ。それなりに気にしてはいるのだろうと思ったが、海が想像していたよりもお妙は近藤のことを心配していた。
『(きっとまだ恋心っていうほどではないんだろうけど)』
それでもお妙の中で近藤の存在は大きくなっている。それはお妙だけでなく新八や神楽も同じだ。彼らも囚われた近藤の事を心配してこんな所までついてきている。帰ったらどうなるかなんて分かりきっていることなのに。
『バカばっかで困るね、近藤さん』
「全くだ。その中にお前も含まれるんだろう?」
『どうだか。ただ……俺は仲間だと認めた奴は裏切りたくないだけだよ』
バカの集団に入れられるのは困るけど。そう言って笑いかけると近藤はにっかりといつもの笑みを浮かべた。
.