第258幕
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『結構いるな。どうするよ』
「どうするもこうするもねぇ。近藤さんを助ける。それだけだ」
『それは分かってんだよ。でもあの中に突っ込んでいって万が一近藤さんの首まで取っちゃったらどうすんだ?』
「おま、見廻組と近藤さんの区別も出来ねぇのか!?」
「トシ、こいつはやりかねねぇぞ。さっき来たとき俺のことも斬ろうとしてたからな。首を持っていかれるかと思って伏せたくらいだ」
「え、それでとっつぁん倒れてたの!?」
「ああ。チビっちまうとこだった」
『それなんなんだよ。警察の頭は皆下半身弱いのか?長官は頻尿で局長は肛門括約筋が激弱で。よくそんなんでやってられるな。俺なら自害する』
「こいつこんなに口悪かったか?」
「あー……色々と隠す必要が無くなったからはっちゃけてんだよ。一応言ったは言ったんだが……」
こそこそ話す松平と土方にイラッとしつつ、ゾロゾロと出てくる見廻組を適当に倒していく。周りは既に血まみれで、吹き飛ばされた見廻組は地面に倒れていたり木の枝にぶら下がっていたりと死屍累々の状態。
『これじゃどこに誰がいんのか分からねぇな』
「お前は誰が居ようと刀振ってるけどね!本当に近藤さん斬ってたらどうすんだ!」
『斬ってねぇよ。ちゃんと確認はしてる。ほら』
ぽいっと手に持っていたものを土方のへと投げる。慌てて受け取った土方はそれをまじまじと見たあと顔を青くした。
「お前生首なんて持ち歩いてんの!?!?」
『間違って斬らないように確認してるだろうが』
「斬った後に確認してたら意味がねぇんだよ!!!」
『その時はその時で考える』
「さっきまでカッコよく決めたやつのセリフか!?」
騒ぐ土方にため息を零していると、松平がおずおずと手を挙げた。
「これじゃ埒があかねぇ。お前ら俺を捕まえた振りして近藤の所まで行け」
『それなんかどっかでやった事あるな』
似たようなことをいつだったかやった事がある。あれは確か辰馬を助けに行った時だったか。
「とっつぁん……」
「なぁに大したことはねぇ。そっちの方が早く見つかるだろうよ」
『……分かった。それなら何人かは見廻組の制服を借りるか』
倒れている奴らの服を剥ぎ取って仲間に着させ、松平を捕まえた見廻組として先に行かせる。海と土方、そして斎藤とエリザベスらは奇襲を掛ける為彼らの後をそっと追う。
"補佐、局長は無事ですよね?"
『じゃなかったら見廻組及び喜喜は殺す』
不意に斎藤に服を引っ張られて振り返ると目の前にバッと紙を出された。文字にも表情にも近藤が心配だと伝わってくる。そんな斎藤に緩く笑みを浮かべて海は答えた。
『心配すんな。近藤さんも真選組も必ず生きて帰る。俺が……いや、皆で護るんだろ?』
"はい!"
こくりと頷く斎藤に再度笑いかけてから視線を前に戻す。すると今度は横から看板がにょきっと生えた。
"桂さんは大丈夫ですかね"
『桂なら大丈夫だろ。こんな所でくたばるようなやつじゃない』
"でももしかしたら……"
『お前らの長はそんなに弱いやつなのか?これまでどれだけ警察の目を掻い潜って悪さしてきたんだよ。逃げに特化してるやつがそう簡単に死ぬわけない』
俯くエリザベスの頭をポンと撫でて大丈夫だと呟く。これだけ言ったのだからもう大丈夫だろうと思ったところで、海の目の前に別の頭が出てくる。
『……お前らさっきからなんなんだ』
"お前だけずるいぞ!"
"羨ましいならお前も甘えてみなッ!"
ひょこひょこと看板と紙が上げられる。これから近藤を助け出すと言っているのにこいつらは何がしたいんだ。
「海、お前何やってんだ」
『知らねぇよ。なんか……筆談合戦が始まった』
「なんだそれ。ふざけてねぇで集中しろ」
様子を見に来た土方に怒られ、海はその場を落ち着かせる為にエリザベスと斎藤の頭にゲンコツを落とす。重い一撃を受けたはずなのに二人は呻くことなくその場に座り込む。
『どんだけ声出したくねぇんだよ……』
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