第257幕
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"どうやら覚悟を決めたらしいな"
「何のだ?てめぇらと斬り合う覚悟か。真選組と攘夷志士が本当に手を組めるとでも?お互い今までの遺恨を忘れるなんざ出来るワケもねぇ。お前たちが攘夷志士である限り……俺たちが真選組である限り……俺たちは戦う運命だ」
エリザベスと土方が話し合っている中、海は端っこの方で座ってぼーっと空を眺めていた。
真選組と攘夷志士が手を組む日が来るなんて夢にも思わない。顔を合わせれば乱闘が始まるような集団なのに。
利害の一致で敵の壁があっさりと砕け散る。そんな瞬間を目の当たりにしていた。
『それにしても腹減ったな』
腹からはぐうううと情けない音が鳴っている。昼前に屯所に行ってからずっと動きっぱなしだったせいでろくに食事を取れていない。
今まで真選組に身を置いていた海が易々と攘夷志士たちに受け入れられるわけもなく、彼らを率いるのに無駄に時間がかかってしまった。ここに桂が居てくれたら海が攘夷志士だったという信ぴょう性が高まったのだが、今海の身分を知っているのは銀時くらいだ。
その銀時も新八たちのところに一旦戻ると言っていなくなってしまった。自分で何とか解決しようにも人の話を聞かない集団に話を説いても意味がなく、実力行使に出るしかなかった。
それ故に真選組と向かいあっている攘夷志士たちの中にちらほらと怪我を負った者がいる。動けないほどには痛めつけていないので、今後の計画にはなんら支障はないはずだ。
ただ、無駄に動いたから腹が減った。それだけ。
"海さん、こっちは済みました"
『分かった。じゃあ動くとするか』
重い腰を上げて立ち上がると、目の前に何かがずいっと差し出された。それは箱に入ったおにぎりと唐揚げ。
「副長補佐!お腹すいてませんか?」
『お前……』
「お腹すいてると思って作ってきました!どうぞ」
にっこりと笑いながら鉄之助は弁当を海へと手渡す。
「ダメですよ?ちゃんと食事は取らないと」
『あ、ああ……悪い』
「いえ!副長の小姓として副長補佐のことも気にかけるのは俺の仕事ですから!」
『鉄之助、俺はもう──』
「そうそう。副長補佐が倒れたりしたら後が大変になるんだぜ?」
「うんうん。副長の機嫌直せるのは補佐しかいないからね」
鉄之助に続いて原田と山崎までもが海の元へと歩み寄る。ちらほらと隊士たちが海の元へ来てはケラケラと笑い始め、いつの間にか周りは隊士たちで囲まれていた。
「そうですぜ。あのマヨラーを飼い慣らせるのは海さんだけでさあ」
「みんな兄さんに頼りすぎだよ!土方さんくらいみんなでどうにか出来るでしよ?」
「マヨラーの相手が出来るのは海さんだけだ」
やれやれと総悟は手を上げて笑い、朔夜はそんな総悟にムッとした表情を浮かべた。
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