第256幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ごめんなさい。真選組に続いて万事屋まで。私があんなことしなければ……ごめんなさい、みんな」
涙を浮かべながら謝るお妙に新八たちは何も言わずに黙りこくった。
海に家まで送り届けられたあと、新八はお妙から話を聞いた。
銀時が喜々を殴ってしまった理由と万事屋にはもう行けないことを。
「姉御のせいじゃないネ」
「そうです。悪いのは──」
「何も出来なかった俺たち警察だろ」
縁側に座る土方はこちらを一切見ようとしない。顔は見えずともその背中には悔しさと苛立ちが感じられた。
まさか家に土方がいるとは思わなかった。彼がいると知っていたら海を引き止めていたのに。
「何もできねぇ。近藤さんはその命を賭して俺たちにこいつを託していった。だが、このままじゃ、警察のままじゃ……俺たちゃ近藤さんも江戸も何も護れねぇ」
「なら警察手帳なんて捨てて攘夷志士とでも手を組んで国とケンカするアルか?」
「ヤツらはそうすると?」
攘夷志士と真選組が手を組んだという話は海と共に聞いた。あの時はまさかと思ったが、どうやらこの話は本当らしい。
家に帰るまでの間、海に攘夷志士と手を組むつもりなのかと聞いたとき、彼は苦い顔で笑っていた。
──手を組むも何も……最初から。
最初とはどういう意味なのかは分からない。だが、海は辛そうな表情をしていた。
「(海さんは何が言いたかったんだろう)」
「あいつは……海はどうした。お前らのところに居たんじゃねぇのか」
「海さんは……行きましたよ」
「行った?」
「はい。"やられっぱなしは癪に障る"って」
海はそれだけ残して隊士たちのもとへと行った。土方は俯いていた顔を上げて微かに笑う。
「ハッ……だから言っただろう。目を離すなと」
少しだけ。少しだけだが、土方の目に光が見えた気がした。何も映していなかった瞳に一筋の希望が見えたように。
.