第255幕
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「これからどうするんですか?」
『なんも決めてない』
新八が用意してくれたご飯と銀時が置いといてくれたご飯を食べながら呟く。
「なんもって……このタイミングを待ってたんじゃないんですか?」
『まあな。銀時がいない間に動こうと思ってたんだが……』
状況が良くない。散り散りになっている隊士たちが集まってくれていたなら良かった。それなら土方を引っ張り出して動かせばいい。だが、隊士らもバラバラになっているのであれば話は別だ。全員に声をかけている間に近藤の首ははねられるだろう。
隊士たちに時間をかけている暇は無い。でも、人手が足りない。
「海さん、銀さんに……相談したほうがいいんじゃ……」
『無理だな。アイツは絶対に認めない』
「でも……!」
『人の刀を隠すようなやつだぜ?そんなやつが近藤さん助けに行くから手を貸せって言って素直に貸すと思うか?』
「それは海さん一人じゃ危ないからじゃないんですか?」
『俺一人が望んでるわけでもないだろ。近藤さんを助けに行きたいと思ってんのは土方たちも同じだ』
土方を止めているのは副長としての責任なのだろう。局長である近藤が居なくなった今、隊士たちを守れるのは土方だけ。真選組は解体されて無くなってしまったのだから、個人の集まりでしかないのに。
『本当にアイツは……世話焼きだと思うわ』
最後の一口を食べ終え茶を啜る。土方を説得するべきか否かを悩んでいた時、ふと天井に人の気配を感じた。
「海さん?」
『……何処のもんだ。ツラ出しやがれ』
居間の天井を睨みつけるように見ると、相手は天井板を外してぬっと顔を出した。
「あ、アフ狼さん!?どうしてここに!?」
『お前はいつから忍びみたいなことやりはじめたんだよ』
海の言葉に斎藤はニヤァと不気味な笑みを浮かべる。
ソファの横に音もなく降り立った斎藤は身振り手振りで何かを説明しようとしていたが、海と新八には何も伝わらない。
『携帯は持ってないのか?』
ハッとしながら斎藤は携帯を取り出してカチカチと文字を打ち込む。暫くしてから海の方へと画面を向けた。
"みんな集まってるZ。あとは副長と補佐だけだZ。"
『これくらい話せよ』
「皆って……もしかして沖田さんたち集まってるんですか!?」
斎藤はこくりと頷いて海の方を見る。
『探す手間は省けたってことか。土方は?この事知ってんのか?』
土方にはまだ伝えていないのか斎藤は首を横に振る。そしてまた携帯をカチカチと操作しはじめた。
"実は攘夷志士たちと手を組んでるZ"
『は?』
「それって桂さんたちとってことですか!?」
新八の言葉に斎藤はこくりと頷く。
『桂たちと……ねぇ?』
一週間引きこもっていたのはダメだったかもしれない。自分の知らないところで隊士たちは動いていた。まさかかつての敵と手を組もうと思うなんて。
『それほどってことか』
彼らのことを見くびっていた。近藤がいなくなったショックで動けないのだと。
『それなら早く合流したほうがよさそうだな』
「海さん!」
冷蔵庫の裏に隠されていた刀を手に取る。そして玄関へと向かう廊下に一歩踏み出した瞬間、外が騒がしいことに気づいた。
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