第223幕
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監視カメラを壊し始めてからかれこれ一時間ほど。海の手元には数十個ほどのカメラが集まった。
四十五個までは数えていたが、それからはもう数えるのがめんどくさくなってやめた。
『そろそろ近藤さんたちと合流するか。多分残ってるカメラはもうないはず……』
カメラが入っている袋を持ち上げた時、視界に入った機械。
『まだ残ってたのか』
海の居る場所から向かいの所にあるカメラは分かりにくいところに設置されていた。飲食店の看板に隠れるようにして動いている。
『ここの通りはあれで最後だな』
袋を屋根に残し、刀を鞘から抜いてそのカメラへ向かって飛ぶ。死角からカメラを壊し、外れた機械を手にして屋根に戻ろうと振り返った時、もう一機カメラがある事に気づいた。
『まずい……!』
海が先程立っていた屋根の下にもあったらしく、そのカメラはゆっくりとこちらを向こうとしていた。
この距離では間に合わない。
なんとかこの場から逃げようとした瞬間、海の身体が浮いた。
「まったく、気を抜きすぎじゃないか?」
『お前は……?』
「そんなんでよくこの通りのカメラ全て壊せたもんだな、海」
海を横抱きにして屋根に上ったのは見知らぬ男。呆れ混じりのため息をつきながら彼はカメラの方を振り返る。
「猿飛」
「問題ない。映る前に壊した」
新たに現れたのはメガネをかけた男。そいつの手にはクナイが深く突き刺さっているカメラ。
「それで最後か」
「ああ」
頷き合う二人。その姿はどこかで見た覚えがある。
『お前まさか月詠か?』
「やっと分かったか」
顔の傷は月詠のものと酷似している。それに着ている着物も。
ただ、やたらと男前になっているが。
『じゃあ、そっちは……』
「お前に気づかれようが気づかれまいがどうでもいい」
『猿飛、か』
ふんっと鼻を鳴らして猿飛は海から顔を背けた。
『月詠たちもカメラ壊してたのか』
「四六時中見張られていては何も出来ないからな」
どうやら考えていることは同じらしい。月詠と猿飛もデコボッコ教のアジトを探し出すためにかぶき町にある監視カメラを破壊尽くしてきた。
『それより下ろしてくれないか?』
「いいじゃねぇかこのままで。壊したカメラより軽いぜ?」
月詠ってこんな性格だっただろうか。
『(なんか……違うんだけど)』
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