第222幕
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ぽつんとその場に残された銀時はただ海の背を見送る事しか出来なかった。
自分も一緒に行くつもりだったのに。監視カメラを壊すことくらい銀時にだって出来る。それなのに海はここに残れと言って一人で行ってしまった。
「あ、あいつ……」
女になってしまったせいで体格が変わり、そのせいか海が大きく見える。先程抱きしめられた時、海は銀時のことをすっぽりとその腕におさめてしまった。いつもなら銀時が海にしていることなのに。
それだけじゃない。この身体になってからというものの、海は銀時に対してとてつもなく甘くなった。
向けられる視線も伸ばされる手も。
「なんだこれ……」
海の一つ一つの仕草が銀時の心を掻き乱す。この感情は海と恋人同士になる前によくなっていたものだ。
「いやいやいや、おかしいだろ。いつもこんな感じにはならないじゃねぇか。そりゃ海と一緒にいるとドキドキするよ?もう銀さんの銀さんフル元気になるよ?でも、こんな心臓爆発しそうな程にはならないでしょうが」
まるで恋してる乙女みたいじゃないか。
「坂田さん、土方さんが呼んでますけど……」
「わ、わかった!あとから行くからお前らは先行ってろ!」
銀時を呼びに来た朔夜を必死に追い払う。今、誰かにこの顔を見せる訳にはいかない。
「(やばい……これマジでやばいかもしんねぇ)」
バクバクと早鐘打つ心臓をなんとか落ち着かせるために深呼吸をしてみるも治まる気がしない。
「海のせいだ……戻ってきたら文句言ってやる!」
女子供に優しい彼の性格を忘れていた。多分きっとそのせいだ。海が銀時にとてつもなく優しくなったのは。
心臓が痛い。このまま死ぬんじゃないかってくらい激しく動いている。
「海……」
今すぐ会いたい気持ちを飲み込んで、銀時は土方たちのところへと歩き出す。熱くなった顔を手で扇ぎながら。
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