第204幕
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「今生の別れは済んだ?」
「信女さん!?まさか信女さんも!?」
「私は見廻組の生き残り。任務は遂行しなきゃいけない。それに……」
一瞬、信女は海を見た。光のない瞳と変わることの無い表情のせいで彼女が何を考えているのかはわからないが。
「斬ってもいいんでしょ?人」
『下のやつらは斬っても構わねぇけど、今刃を向けてる人は絶対に斬るな』
「……そう」
至極残念そうに聞こえた呟きに銀時たちはサッと青ざめた。
『さて、どこから攻め入るか』
城の兵士の人数を考えるとあまり無茶な動きはできない。かといってこういう場面において有効な手立てを考えられる戦略的な人物もいない。
『となると……』
「当たって砕けろ。それしかないだろ」
『期待はしてなかったけど』
「なに?」
『なんでもない』
戦略だのなんだの考えていた自分が恥ずかしくなる。こいつらにはそんなもの必要ない。とりあえず行ってやるだけの事をやる。生きていればなんでもいい。
『そういうやつらだったわ』
「桜樹 海」
『ん?』
ため息をつく海の横に信女がひっそりと立つ。銀時たちに聞こえぬように小声で呟いた。
「貴方に死なれては困る。だから生きて」
『は……?』
先程は今生の別れ云々言っていた奴が死なれては困る発言。どういう意味だと聞こうとしたが、既に信女は屋根から飛び降りて下へと行ってしまった。
『わかんねぇ。あいつ表情筋死にすぎてねぇか?』
感情を読み取ることが出来ないからあの言葉の意味が理解できない。純粋に心配されたのではないことだけはわかるが、その言葉の裏の意味を読み解くことは困難だった。
『まぁ……いいか。死ぬことは無いだろうし』
信女を追って銀時たちも下へと降りていき、海も参戦しようと刀を抜いた時、胸元の携帯が震えた。
こんな大事な時に一体誰だ。しょうもない連絡だったら無視してしまおう。携帯を開いて画面を確認した刹那、ニヒルな笑みを浮かべた。届いたメールにすぐさま返信する。
『たまには良いことするじゃねぇか』
普段からわがままに振り回されていたため面倒な人だと思っていたが、やる時はやる人間らしい。ただ、判断を下すのが遅すぎな気もするが。
『今回は大目に見るとするか』
あの定定を排斥出来るのであればなんでもいい。
あの男は海にとって醜い膿でしかないのだから。
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