第220幕
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兵士たちの確認を終えた後、屯所へと帰ってきた海は素早く自室へと戻った。
いつもなら山崎に出迎えられるのだが、今日は運が良かったらしい。部屋に行くまで誰とも会わずに済んだ。
『今日は静かだな。誰もいないのか?』
庭でミントンしているはずの山崎がいないということは張り込みに行っているということか。暇さえあれば、いや暇でなくても彼はひたすらラケットを振っているのに今日に限ってその姿は見えない。
今の気分的にそれはとても助かるのだけれど。
『疲れた。寝たい』
隊服を脱いで衣紋掛けにかけ、刀を適当に立て掛けてはゴロリと畳の上に寝転がった。
何も考えずに目を閉じる。今日あったことを全て忘れるように。
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
ことん、という音が聞こえて目が覚めた。気だるい身体を起き上がらせて時計を見ると、部屋に戻ってきてから二時間ほど。
『寝すぎた……』
一時間くらい寝るはずが大分寝すぎてしまったらしい。
「兄さん……いる?」
『朔夜?』
控えめに襖をノックする音と朔夜の声。
だが、何処か違和感がある。朔夜の声はこんなに高かっただろうか。
「あの……ちょっと」
『どうした?何かあったか?』
声色的に困ってますというのが伝わってくる。また総悟に無理難題でも押し付けられたのかと思いながら海は襖を開けた。
「えっと……僕、なんか変なんだ」
『……は?』
「兄さんが城に行ってる間になんか空が明るく光って……それからずっとこうなんだ」
泣きそうな顔で話す朔夜は女の子のような出で立ち。着ている隊服もブカブカで、上着の隙間から見えてはいけないものがチラついている。
『お前本当に朔夜か?』
「うん。皆こうなっちゃってるみたいなんだ」
『いや……は?』
皆女になっているのだと朔夜は涙目で訴えてくるが、そんなこと信じられる訳もなく海は疑いの目で朔夜を見つめた。
「にいさん、どうしよう……」
海に縋るその姿は紛れもなく朔夜だ。胸元へと飛び込んできた身体をそっと抱きしめたが、明らかにサイズ感が違う。
『どうなってんだこれ』
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