第219幕
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「お疲れ様です、海さん」
『お疲れ。悪いな休みの日に』
「いえ、大丈夫です。それよりあのアホ共はどちらに?」
コンテナの上からトラックを見つめていた海の元にバズーカを持った総悟が顔を出した。
『あっち』
「強盗犯と仲良く逃走ですか。土方さんも遂に犯罪者の仲間入りとは」
『お前一人で来たのか?』
「いえ、数人の同心を連れてきました」
『そ。じゃあ俺の出る幕はねぇな』
強盗犯は同心たちに任せれば大丈夫だろう。見た感じそんなに強そうに見えなかったから。
やっと楽出来る。ごろんっとコンテナに寝転んで背を伸ばし、バイクの運転で疲れた身体を休ませた。
「海さん、土方さんたち来やしたよ」
『撃て』
「いいんですかい?」
『人を振り回した罰ぐらい受けろっての』
散々振り回されたのだ。バズーカの一発や二発くらい撃ったっていいはず。
「じゃあ、遠慮なく」
ニヤニヤ笑いながら総悟は土方たち目掛けてバズーカを放つ。
「あっ……」
『どうした?』
「すみません。金も巻き込んだみたいで」
『え』
慌てて起き上がり、総悟が撃った先を見る。黒い煙のせいで何も見えない。
『あいつら持ってたのか?』
「はい。旦那が盗んだらしくて」
『……ならあの二人に賠償させろ』
もう考えるのもめんどくさい。強盗犯が奪った金を何故銀時が持っているんだ。
「兄さん、もう帰ろう?」
『そうだな。山崎に土産でも買って帰るか』
昼頃に見た山崎のあのにこやかな顔が懐かしく感じる。楽しんできてねと見送られたのに。
『楽しむどころの話じゃなかったわ』
「僕は楽しかったよ!」
コンテナを降りようとした海の服をガシッと掴んで朔夜は真っ直ぐ海を見上げる。その目はバイクを初めて見た時と同じで輝いていた。
「少し怖かったけど、それ以上に楽しかった!運転してる兄さんかっこよかったよ!」
『そ、そうか』
「ねぇ、また時間があったら……」
『今度はこんな事にならねぇといいけど』
「兄さんと一緒ならなんでも楽しいよ!!」
ただバイクに乗っただけだというのに朔夜はまるで遊園地に連れて行ってもらった子供のように飛び跳ねて喜ぶ。
こんなんで満足できるのかと思ったが、朔夜は総悟に今日あったことを興奮気味に話していた。
「海さん……」
『悪い。少し付き合ってやってくれ』
あのねあのねと話し始めた朔夜に総悟がうんざりとした顔を浮かべる。話し相手が今総悟しかいないのだ。今は耐えてもらうしかない。
『さて、俺は仕事するかな』
後ろから聞こえてくる楽しげな声に口元を緩ませ、海は同心たちの元へと向かった。
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