第219幕
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「兄さん!あれ!!」
『わかってる!』
走り続けて数十分。漸くパトカーに追いつくことが出来た。
パトカーの前には強盗犯が乗っているであろう車両。そして何やら揉めている土方と銀時の姿も見えた。
『人質の割にはやけに自由に動いてるじゃねぇか』
人質として拘束されているというわけでもなく、土方と銀時は犯人を前にして胸ぐらを掴みあっている。そんな余裕があるなら犯人共を捕まえろと文句を言いたい。
「に、兄さん……」
『……ふざけてんのかあいつは』
土方がトラックから顔を出したかと思えば、追跡していたパトカーへと乗り移る。逃げてきたのかと思ったが、土方はフロントガラスを壊してまたトラックの中へと戻って行った。
「もう放っておいてもいいんじゃない?」
『そうしたくても出来ねぇだろ』
この際、土方と銀時はどうなってもいい。だが、盗まれた三億円だけは取り戻さなくてはならないだろう。銀行に戻さなくては多大なる損失となる。下手すればほずみ銀行が潰れる可能性だってあるのだ。
『確かこの先は封鎖してあるはずだよな?』
「うん。先回りでこの道路は同心が待機してるよ」
パトカーからの情報を頼りに強盗犯の逃走ルートを予測し、いくつかの道路には検問を張っている。その中でも一番使われそうな道を封鎖するように声をかけており、その中の一つがこの道だった。
「兄さん!トラックが止まった!」
今の間にトラックに乗り込んで強盗犯どもを捕まえなくては。そう思ってバイクを加速させるも、海が追いつくよりも先にトラックはまた動き始めた。
『あ!?』
「うっそ……強行突破するの!?」
道を塞いでいた障害物を突き破ってトラックは走り出す。
『無事か!?』
「な、なんとか……!」
「でも、トラックが!」
倒れた同心に声をかけ全員の無事を確認し、海はまたトラックを追いかけた。
「どこまで行く気なんだろ……」
『この先にあるもんなんて何も……』
この道の先には大量のコンテナが置かれている場所がある。そこならトラックも隠せるし、逃げるには最適の場所だ。
『朔夜、少し速度落とすから近藤さんに連絡してくれ』
「なんて言えばいいの?」
『港。コンテナ集積してる港に隊士数人配置しろって』
「了解!」
後ろで携帯を操作し始めた朔夜の為にスピードを緩める。あのトラックの行先が分かればそんなに急ぐ必要もないだろう。
『はぁ……休みの日に何してんだか』
呆れた顔でため息をつき、海は揉み合っている銀時と土方の姿を眺める。その後ろで強盗犯が楽しそうにしているのを見て再度ため息をついた。
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