第217幕
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「見張り、ご苦労さん」
「何だヅラか」
「ヅラじゃない。桂だ」
声をかけられた銀時が振り返った先には桂が立っていた。声からして海ではないのは分かっていたが、海も一緒に来ているかもしれないという期待を胸に振り返ったものだから落胆具合は酷い。
「どうだ、幕軍の様子は」
桂が見ているのは前方にある幕府軍の陣地。
「あれだけ手痛い目に遭わせてやったんだ。もう二、三日は動けねーさ。"畳みかけるなら今しかねぇ"とか言っていい?」
「バカを言え。お前海の負担を増やすつもりか?こちらだって怪我人が多いんだ。その手当をしているのは海一人だというのを忘れたのか?」
前の戦のせいで幕府軍もこちらの仲間も多大な犠牲を払った。
そのせいで海が仲間の手当をしている。服を手を血まみれにしながら皆の怪我の具合を確認し、少ない物資で応急処置を施していた。
「あいつちゃんと寝てるのかよ」
「声はかけてはいるが……きっと寝ていないだろうな」
「二日後の援軍到着までになんとかしたいのだろう。海の気持ちは痛いほどわかるが、あの状態ではな」
援軍がくれば物資も共に届くはず。そう思って海は手を尽くしているのかもしれない。軽傷のものであれば間に合うかもしれないが、中には酷い怪我を負った者もいる。
「間に合うかもしれないだろ」
海の思いを無駄にはしたくはない。だが、現実はそんなに甘くないことも知っている。
「それならば海を休ませることだ。ふらふらしながら治療をしていれば手元を間違えるかもしれん。俺が言っても聞かないんだ。お前や高杉が注意すれば言うこと聞くだろう」
「俺が言っとく。高杉なんかに任せられるかよ」
「なんだ、喧嘩でもしたのか」
喧嘩なんてものではない。あれがきっかけで高杉が海をどう思ってるのかを知ってしまった。今まではおかしいと思っていただけだったのに、あの一件で確信に変わった。
「アハハハハアハハハハ!おまんらまっことケンカばかりしちゅーのう!同門の出と聞いちょるが仲が良いヤツほどケンカするとはこのことか!」
「お前身体の方はもう大丈夫なのか?寝てた方がいいだろ。デリカシー斬り落とされたって聞いたぞ」
またうるさいのが増えた。しかも人の傷を真正面から抉って来る男が。
「アハハハハハハ……心配はいらん!デリカシーならヘソの緒と一緒にとっくに斬り落とした!」
笑い事じゃねぇよ。もう一回母親の腹の中からやり直してこい。ちゃんとデリカシーを持った状態で。
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