第214幕
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「たまでございます。今日はよろしくお願いします」
可愛らしい着物に身を包んだたまは礼儀正しく頭を下げて挨拶をした。それに対して山崎は緊張のせいで、畳に穴を開けるほど頭を打ち付けて挨拶を返す。
本人たちが来たということで付添人が座る場所が変わり、海は総悟の隣に腰を下ろした。
「このお見合い上手くいくと思います?」
『さあ?本人たち次第だと思うが?』
「俺はどっちに転んでも面白いんでいいんですけど」
『お前は最初からそうだろ。俺に話を持ちかけたときから』
楽しければなんでもいい。山崎がたまと結婚する事になろうが、たまに振られることになろうが。総悟は最初からこの話には面白さしか見出していないのだ。
「バレてましたか」
『あんだけ気味の悪い笑いしてたら誰でも気づくだろ』
「そんなことありませんよ。純粋な笑顔です」
『どこが』
朔夜と比べたら全く違う。総悟も神楽も変に大人びているところがある。置かれている環境のせいということもあるのだろうけど。
「海さん、始まりましたよ」
『何がだよ……』
始まったのは新八による山崎のツッコミ査定。ツッコミ役である新八は山崎のやり方にケチをつけ、しかも点数までつけていた。
さっきまで場を収めてくれと言っていたやつが何をしてるんだ。
そんな時、たまが山崎にティッシュを差し出した。さっきの挨拶の時に怪我をした山崎への温かい気遣い。
「よろしかったらコレ使ってください。大丈夫ですか?救急車お呼びしましょうか?」
「だ、大丈夫です!すみません」
受け取ったティッシュで目元の血を拭く山崎は嬉しそうにはにかむ。漸く当人同士の話が出来たかと思ったが、余計な一言を漏らすやつが一人。
「そこは普通ティッシュじゃなくてハンカチじゃないの?止血も出来るし。アレおっかしいな気の回るからくり家政婦って聞いてたんだけど……45点かな」
まるで姑のような小言に山崎が青ざめるも土方の小言は止まることなく垂れ流される。
「ウチは生傷の絶えない仕事なんでそういう対応が迅速にできないと。店員呼んで救急箱もらうとか何かあったと思うんだけどなー。海、お前ならこういう時どう対処するよ」
『……は?なんで俺が』
「お前は周りをよく見てるだろ。そういう奴から学ぶのが一番じゃねぇか?」
それで何故自分に話を振る必要があるんだ。
「海様、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」
『だからなんで俺が!?』
「やだやだ。そうやって"ウチ"の海に仕事させるんだから」
「海はお前のじゃねぇ。"ウチ"のモンだ」
たまと山崎を置いてけぼりにして何故か海が何処のもんかという喧嘩が勃発。
『帰りたい』
「ダメですよ。これからじゃないですか」
『お前は楽しそうでいいな』
「ええ。そうじゃなきゃ困ります」
最近暇してたんで。と笑う総悟はとても意地の悪い顔をしていた。
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