第213幕
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ここのところ山崎が屯所に居なかったのは万事屋に張り込んでいたからだったのか。
監察である彼が屯所を出ているということは攘夷浪士などの動向を見張りに行っていることが多い。だから海も気にしていなかった。
『まさか銀時のことを張り込んでるなんてな』
原因は見廻組との衝突した時のことだろう。鉄之助を守るためとはいえ銀時は過去の身分を明かしてしまった。そのせいで調査対象に加えられたのだ。
『下手に庇ったら俺も怪しまれるか』
「何が怪しまれるんですかい?」
後ろから聞こえた声にハッとして振り向く。そこには不思議そうにしている総悟が立っていた。
「珍しいですね。海さんが気づかないなんて」
『考え事してたんだよ』
「センサーでも付いてるんじゃないかと思うほど気配読むの早い人が考え事でねぇ」
『何が言いたい』
探られているような気がして思わず語気が強まる。
「どうせ旦那のこと考えてたんでしょう?」
『お前には関係ないだろ』
これ以上つつかれては面倒だ。
海は総悟に背を向けて見回りの続きをすべく歩き出す。
「海さん、俺と手を組みやせんか?」
『は?』
「海さんは万事屋の張り込みを止めたい、俺は山崎の恋を叶えてやりたい。山崎が万事屋のところの女と付き合うことになれば旦那の疑いは晴れます」
『逆にそれを逆手にとることだってできるだろうが』
たまを人質にする形で揺さぶりをかけてくるかもしれない。仲間内に弱い銀時なら洗いざらい吐いてしまう可能性がある。
そうなった時は海が全て壊すが。
「近藤さんがそんなことすると思いますか?」
『一人やりそうな奴がいるんだよ』
「土方さんには俺から言ってやめさせますよ。マヨネーズを人質にすればあの人だって手は出せません」
確かに。と納得してしまう自分がいることに驚きつつ、そんな簡単に事が上手くいくものかと鼻で笑う。
『これはそう簡単な事じゃないだろ。山崎を出したということは近藤さんも少なからず銀時を疑ってるんだろ』
「海さんは旦那が今も悪いことしてるって思ってるんですかい?」
その言葉にピタリと足を止める。
「俺は思いやせんけどね。今の旦那はただのニートで、海さん大好き人間くらいにしか見えないんでさぁ」
そんな人をずっと張り込むなんて酷い話だと思わないかと問いかけてくる総悟。
『お前が俺に手を貸すメリットはないだろ』
「ありますよ。十分過ぎる理由が」
海の横を通り越して総悟は万事屋へと向かう。ちらりと見えた横顔はとても楽しそうな顔をしていた。
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