第213幕
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山崎 退観察レポート。張り込み生活一週間目。
今日も万事屋に動きはない。
ここの旦那が攘夷戦争の英雄、白夜叉であることを知った副長はいよいよ本格的にマーク。真選組の敵となるなら即座に逮捕、怪しいことをしていても逮捕。
何がなんでも旦那の悪事を暴けと無理難題を押し付けられて張り込みをしている。
「真選組の敵になるかもしれない、じゃなくて補佐の恋人だから気に食わないの間違いじゃないの?」
副長である土方は補佐である海に恋心を抱いている。それは真選組内で周知の事実であり、知らない隊士は一人もいない。みんなに知られているのを副長は知らないし、副長が好いているということを補佐は知らない。
当人同士だけが自覚していないという状況に隊士たちはヤキモキしている。
そんな中、補佐は万事屋の旦那に横からかっさらわれた。旦那と補佐は幼なじみで仲が良かったのだが、補佐が天人に連れていかれた件の時に一線越えたらしい。
補佐は旦那の恋人となったのだ。これで副長は補佐のことを諦めるかと思いきや、逆に火が付いてしまったらしくことある事に補佐を自分の側に起きたがるようになった。
そして旦那の過去が暴かれた今、副長は旦那を潰そうと画策している。
「旦那が攘夷戦争に関わっていたのなら補佐も……」
その可能性は高い。きっと副長や局長だって補佐のことを疑っているはずだ。でも誰も真相を聞こうとはしない。あの沖田隊長ですら知らぬふりをしているのだから。
補佐が戦争に参加していたら副長はなんて思うのだろうか。旦那と同じように逮捕しようとするのか、それとも沖田隊長のように知らぬふりを決め込むのか。
「僕にはわからないや。でも、補佐は補佐だから」
あの人が昔、何していようが関係ない。仲間であることには変わらないのだから。
「あっ、あんぱん買ってこないと」
張り込みにはあんぱんと牛乳が鉄則。それを切らすなど張り込み失格だ。
部屋に転がるいくつものあんぱんの袋。それを見つめながら一体自分は何をしているかと自分に問いかける。副長命令によって何日も張り込みをしているが何一つ進展などない。暇人の旦那を張り込む必要なんてあるのか。
幾度となく自問自答してみたが答えは出なかった。
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