第212幕
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定春が屯所に来てから数日後。銀時から事の顛末を聞かされた。
定春が連れていた子犬の主人は亡くなっていたらしい。その主人は犬の多頭飼いをしていて近所から異臭や騒音で嫌がられていたとのこと。
主人がなくなったあと飼われていた犬たちはどこかへと行ってしまったのか、主なき家には子犬だけが残された。その子犬も町内会での掃除の時に扱いに困るという理由で捨てられていたとのこと。
その子犬を拾って面倒見ていたのが定春だった。
『自分だって腹空かして困ってたのに』
動物病院に預けられた定春は栄養失調になっていた。共に運ばれた子犬も生死をさ迷っていたが、銀時の機転によって救われ、飼い主の親戚の元へと連れていかれた。
「くぅん」
『悪いところばかり似るのは新八と神楽だけでいいっての。お前まであの天パに似なくたっていいんだからな?』
「わん!」
子犬のために餌を調達していた定春はボロボロになっていた。自分はどうなってもいい。でも子犬の命だけは助けたいと。
『まったく……しっかり休むんだぞ?定春』
「わん!!!」
定春の元気な鳴き声を聞きながら海は病院の受付へと戻る。
海がここに来たのは定春に会うため。そして定春と子犬にかかった治療費の支払い。
「困りますよ、治療費踏み倒されちゃ……」
『自分が支払います。いくらでしたか?』
「え゙、桜樹さんが払うんですか!?」
銀時たちに逃げられた獣医は入口のところで困り果てていて、受付をしていた女性も苦笑い。
『ご迷惑おかけしてすみません』
「いえいえ、大丈夫です!」
『定春のことよろしくお願いします』
治療費に加え定春が少しでもいい物を食べられるようにとご飯代も残して海は動物病院を出る。
『さて……あとはアイツらの飯かな』
ぐーぐーお腹を鳴らしていた子供らと天パにご飯を食べさせてやらなければ。
いつまでも家計の自立が出来ないご主人様のために海はスーパーへと歩き始めた。
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