第211幕
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漸く新八の家にたどり着いた銀時たちは縁側に座って一息ついた。
真選組や柳生家の者たちは役目を終えて皆引き上げたらしい。
誰もいない恒道館はとても静かで寂しかった。
「海、帰っちゃったアルか?」
「アイツまだ治ってないだろ。帰って休んでんじゃねぇの?」
いると思っていた海の姿は見つけられず、神楽は唇を尖らせて落ち込む。銀時も口ではなんでもないように言ったが本心では残念で仕方ない。
会ってちゃんと話したかった。お礼も言いたかったし、この間のことを謝って仲直りをしたかった。
「海……」
「銀ちゃん屯所行ってみる?」
「いや、寝てたら邪魔になるから今日は──」
やめておく。と言いかけた銀時の目に映った黒いもの。それは柱に寄りかかるようにして座っていた。
「海?」
『遅い』
「海!!いたアルか!!」
黒いものは真選組の隊服。いくつもの上着の中から出てきたのは海の頭。
「これなにアルか」
『知らねぇ。さっきまで寝てたから何でこうなってんのか』
一つ一つ綺麗に畳んでは積んでいき、その数は数十枚にもなった。ここにいた隊士達が眠ってしまった海に上着をかけていったのだろう。風邪をひいてしまわぬようにと。
「眠かったのならなんで帰らなかったんだよ」
『帰ったら誰もお前らを迎えてやれないだろ』
たったそれだけのために海はずっとここで待っていてくれた。冷たい夜風の中ずっと。
「海」
『あ?』
「ごめんな」
『何が?』
「その……この間迷惑だなんて言ってよ」
『迷惑なのは確かだろ。銀時が言ったことは何も間違ってない』
「でも、」
『むしろ謝らなきゃいけないのは俺の方だろ。怪我してんのに出歩いたし。それで銀時や近藤さんたちに心配かけてんだから。だから……ごめんなさい』
ぺこっと頭を下げる海。その頭に手を伸ばしてわしゃわしゃと撫で回した。
「いいよ、もう怒ってないから。でももうあんなことしないでくれな?」
『わかった』
「ん。ほらこんな所にいたら風邪ひいちまう。中に入ろうぜ」
海の手を取って新八たちと共に家の中へと入った。
新八とお妙の姿を見て全てを悟った海はただ「おかえり」とだけ二人に呟く。途端に新八たちはその場に泣き崩れ、海はそんな二人を何も言わずに抱きしめていた。
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