第210幕
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「いい加減にしてもらえませんか」
「新ちゃん……」
ずっと黙り込んでいた新八が怒気を含んだ声で呟く。
「みんなで寄ってたかってそんなに一兄を消したいですか。ともかくこれで近藤さんも九兵衛さんも恋敵を消せる大義名分が立ったってわけだ。最低だよ、どいつもこいつも最低だ」
怒りに震えながら絞り出した言葉はオビワンを貶めようとしている人たちへの恨みの言葉。
「お前──」
『土方』
見かねた土方が新八に声をかけようとしたのを止め、代わりに海が新八に語りかける。
『お前にはそう見えるのか』
「それ以外に何があるって言うんですか」
新八は海を力強く睨む。その目はまるで親の仇を見ているかのようだった。
『それ以外?ああ、沢山あるよ。お前が知らないところでな』
「何を言って……」
「土方さん、海さん。どうやら嗅ぎつけられちまったみたいで」
『入れさせるな。誰一人として』
「へい」
新八の家に来たのはオビワンを捕まえるべく編成された同心たち。そんな彼らを隊士達や土方、東城が塞き止める。
「なんで……」
『なぁ、新八。お前銀時と関わりを持ってどれくらいになる?』
「そんなの覚えてませんよ」
『覚えていられないくらいずっとそばに居たよな。ならアイツの性格くらいわかるんじゃねぇの?』
「性格?」
『なんで俺たちがここにいると思う?』
「それは一兄を捕まえるために……」
『でもその男はここにいない。ここで待ってれば戻ってくる可能性もあるかもしれないけど、ずっとここで待ち伏せていても埒が明かない。それでも俺たちがここにいる理由なんだと思う?』
「そんなの僕が知るわけッ」
『ないよな。だっててめぇの頭で考えようとしてねぇから』
縁側に座り、押し寄せてくる同心たちを眺めながら海は淡々と語る。その余裕そうな雰囲気に新八は怒りを顕にしていった。
「海さんに何がわかるんですか。一兄は僕や姉上の大切な兄貴分なんです!貴方たちは知らないでしょうけど、あの人は僕たちにとってかけがえのない存在なんです!!」
『これほど悲しいもんはねぇな。まぁこうなったのは銀時の説明不足ってのもあるんだろうけども』
「なんで銀さんが……」
『俺たちをここに配置したのは銀時だから』
海の一言に新八は目を丸くして固まる。
『どっかのバカが頭下げに来て、ここを守るように頼み込んできたんだと。俺はその時寝てたから知らねぇけど』
銀時が頭を下げに来たとき海は薬を飲んで寝ていた。来ていたのを教えてくれたのは土方だ。新八たちの保護と後に来るであろう同心たちの牽制。そしてオビワン逮捕をなんとか送らせて欲しいという願い。
『アイツの土下座なんてほぼ見ることねぇよ。つか、土下座なんてやりたくねぇだろ普通。それでも銀時はやったんだよ』
どれだけ恥をかいたとしても守りたかったものがあったから。銀時にとって新八やお妙はかけがえのない存在だから守った。
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