第209幕
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「銀さんあんた何してるんですか」
「ビームサーベルケツにぶっ刺してるやつに言われたくねぇよ」
「これは気にしないでください。てか、海さん帰っちゃったじゃないですか」
新八は寂しげな顔で海が歩いていった方を見つめる。兄と慕っている男が帰ってきて先程まで有頂天だったやつが、海が帰ったくらいでそんな顔するなんて。
「(欲張りなやつ)」
自分は海にずっと会えなかったのに。やっと会えたかと心躍らせたのもつかの間、海はすぐに帰っていってしまった。
そうなってしまったのは自分のせいなのだけれども。
「なんであんな言い方したんですか?海さんショック受けてたじゃないですか」
「別にあいつを責めたわけじゃねぇよ」
「責めてるように聞こえましたけど」
誤解だと言えたらいいのだが、事実少しだけ意地悪な言い方をした自覚はある。今回のことは腹に据えかえるのだ。病院を勝手に抜け出したこともそうだが、自分の知らないところで高杉と会っていたことも。
偶然あそこで会ったのか、それとも前々から連絡を取り合っていたのか。
「(どちらにせよ腹立つのには変わんねぇけど)」
恋人が別の男の匂いを身に纏わせていたら誰だって憤慨するものだろう。しかも、その相手が海に好意を持っていることを知っているのだから尚更気に食わない。
「ちゃんと謝った方がいいですよ、銀さん」
「うっせ。お前は兄貴だかなんだかの相手してろよ」
しっしっと新八を手で追い払い、銀時は橋の手すりによりかかって空を見上げる。
「謝るったって何言えばいいんだよ」
元々海が悪いのは確か。銀時もさっき言いすぎたのは認める。
今から追いかけていって謝る?
「まさか」
どうせまた海に対して嫌味を漏らすだろう。自分の気が済まない内は海に接触しない方がいい。
海の体調が良くなるまでまだ時間はあるはず。その間にこのモヤモヤを晴らしておこう。そしたらすんなりと謝れるはずだ。
「お大事に、海」
銀時と喧嘩したような形になった海は屯所から出ようとは思わないだろう。そうすれば治りだって早くなるはず。
「……それにしてもさっきの海可愛かったな」
銀時の姿を見つけた瞬間、つまんなそうにしていた海の顔が一瞬にして輝いた。まるで迷子になっていた子供が親に会えた時のように。
「銀さん今すっごく気持ち悪い顔してますよ」
「うるせぇメガネ。お前にはまだ分かんねぇよ」
「わかりたくもないんですけど……」
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