第209幕
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早朝の食堂はガランとしていて静かだった。
他の隊士たちが来て賑やかになるのはまだ先の時間だ。そんな時間にこの状態の海を連れてくるのは酷な気がして、土方は朝早くに海を叩き起した。
「海さん食べられるんですか?」
海が好物としているオムライスを作ってもらったのだが、当の本人はスプーンを持ったままボケっとしている。
「少しでもいいから食え。じゃねぇと体力も落ちるだろうが」
「残しても俺が食うから気にしなくていいぞ!」
『……おむ、た、む……』
「海さん?」
オムライスをじっと見つめていた海がもごもごと喋るが、誰も聴き取れず首を傾げる。
「大丈夫かコイツ……」
「あの薬飲ませるのやめさせた方が良さそうだな」
ちまちまと食べ始めた海を横目に土方たちも朝食に手を付け始める。
「だな。これじゃ使い物にならねぇ」
「それは土方さんのパシリとして使えないってことですかい?ひでぇやつでさぁ」
「んなこと言ってねぇだろうが!!」
「あー、やだやだ。自分の補佐だからって海さん私物化しちゃって」
「してねぇっつの!!」
「ダメだぞ、トシ。海を使いっ走りにしたら」
「今までそんな風に見てたのお前ら!?!?」
一度も海を使いっ走りにしたことなど……ないはずだ。というか、海が自ら土方の手足として動いている。だから土方本人が指示をするまでもない。
「海さん、嫌なことあったら言ってくだせぇ。いつでもウチに引き抜きますから」
「お前のところには朔夜がいるだろうが!!」
「あいつはまだまだなんですよ。ひよっこより成熟した鶏の方が使いやすくていいじゃないですか」
「お前の方が使いっ走りにしそうなんだけど!?!?」
「まあまあ、トシも総悟も落ち着けって」
先に朝食を食べ終えた近藤が土方と総悟を宥め、食事の続きを促す。海の方もそろそろ食べ終わっただろうかと目を向けた時、近藤は小さく悲鳴をあげた。
「海ィィィ!!!」
「あ?はぁぁ!?!?」
「こりゃ相当きてますねぇ」
目を離した隙に海は眠ってしまったらしく、オムライスを枕のようにして気持ちよさそうに寝ていた。
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