第206幕
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『殺す……殺してやる……!』
「待て、海!」
『離せ!!』
もう我慢ならない。自分らがいくらバカにされよう構わないが、松陽のことを侮辱されるのだけは許せなかった。
「銀時は毒を受けておるのだぞ!?」
『そんなの知ってる!あそこから銀時を引っ張り出してくるからお前らが病院に連れて行ってくれ』
怒りに任せて朧の元へと走り出していった銀時は返り討ちにあっている。また毒針を身体に受けた銀時は大量の血を吐き出していた。
「海、お前銀時を置いていく気か!?」
『……死ぬわけ……ないだろ』
「そんなの……!」
『分かるはずがないって?』
刀を鞘に戻し、海は座り込んでいる銀時の元へと歩み寄る。
『銀、もう少し耐えられるか』
「げほっ……な……に、」
『もう少しで来るはずなんだ。アイツらが遅れて来なければ』
「だ……ごふ……」
苦しそうに血を吐き続ける姿に胸が締め付けられる。でも、今海にできることは何もない。
『大丈夫だから……銀時は死なねぇから大丈夫』
「……海」
銀時の血まみれの頬にそっと手を当てて撫でる。その手を取ろうと銀時は手を動かしたが、腕に力が入らないのか触れることはなかった。
『これ、置いていくから』
銀時の手にお守りを残す。行くな、と目が訴えている気がしたが、海は見て見ぬふりをした。
『もう何も失いたくないから。行ってくる』
だからここで待っていて欲しい。と呟いて海は定定と朧の後を追った。
銀時の毒がどこまで回っているかは分からない。そんな状態で置いていくのは辛いが、ここで定定を見逃せばまたアイツはよからぬ事を考える。
それに大事な人をバカにされたままでいられるわけがない。
『大丈夫……きっと間に合う。大丈夫』
優秀な弟がついている。きっとあの子ならやり遂げてくれるはず。そうすれば銀時は助かる。
不安な思いを打ち消すべく海はひたすら走った。
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