第206幕
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「海さん!じいやさんの血が止まらないんです!」
月詠の着物の端切れでどうにか止血を行ったが、それぐらいの応急処置ではこの傷はどうにもならない。流れ出る血は一瞬にして布を真っ赤に染め上げていく。
『焼いて止めるって方法があるけど……』
「や、焼く!?き、傷口をですか!?」
『焼灼止血法っていうやつ。患部を焼いて無理矢理止血するっていうもんだけど』
焼くのだから当然苦痛が伴うやり方。斬られて衰弱している相手にやる方法ではない。それにやった後には火傷の手当が必要になり、そっちの方が厄介だ。
『新八、神楽』
「はい!」
『じいさんを病院に連れて行ってくれ』
「しんがりはわっちらが務める」
「いいのね?ここからは何人斬っても」
「ああ、好きにしなんし。明日には消える一夜の夢よ」
『神楽、これ持ってけ』
胸ポケットから取り出した携帯を神楽へと投げ渡す。
「なにアルか?」
『落とすな。肌身離さず持ってろ』
「う、うん」
きっと役に立つはず。そう願って海は神楽に携帯を託した。
「ふん……老いぼれの命を救うため足止めか。逃げられると思うのか、我が手のひらから!」
「逃げねぇよ、どこにも。天上に座すのは日輪かそれとも月か。ケリつけようじゃねぇか。なあ、天上のパシリ殿」
『はぁ……外のヤツらの方がやりやすかったんだけどな』
「文句言ってないでやりなんし!」
「斬るのに選り好みなどしない」
バッサバッサと倒していく月詠と信女。銀時の方も天照院首領と始めたらしく騒がしくなっていた。
『こんなヤツら相手にしてる暇なんてねぇのに』
向かってくる敵をなぎ倒しつつ、海はこちらを見下ろしている定定へと目を向ける。余裕な笑みを浮かべているのが気に食わない。
『クソ野郎が。そのツラ二度と出来ねぇように──』
「海!!」
月詠に呼ばれて瞬時にそちらへと目線を変える。そこには倒れ込む銀時に襲いかかろうとしているやつら。
すぐさま銀時の元へと走りよって周りの敵を斬り伏せた。
『何やってんだよ』
「死にたいなら斬ろうか」
悪態つきながらも銀時を守った信女が、銀時の身体に刺さっている針を見て目を細める。
「経穴を突かれてる。しかも毒針で」
「やべぇのか?」
「身動きが取れないどころか毒を抜かなきゃ死ぬ」
『ここでは処置できねぇってことか』
毒となれば手当も何も無い。海たちにできることは銀時を守り抜くことだけだ。
この場を片付けるのが先か、それとも銀時の毒を抜くためにここから逃げるべきか。
『(どちらにせよ相手は逃がしてはくれないだろうけども……)』
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