第231幕
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「土方さん、海さんと喧嘩でもしたんですか?」
「そんなわけあるか」
「でも海さん土方さんのこと避けてるじゃないですか。いつも土方さんと見回りに行くのに」
ちらりと横目で土方を見る。いつものように煙草を取り出して煙を吹かせているように見えるが、煙草を押さえている手は震えているし、視線はあちこちへ泳いでいた。
明らかに動揺している。これは海と何かあったなと察した。
「別に喧嘩なんざしてねぇ!」
「なら一方的に海さんに嫌われた感じですか」
「き、き、嫌われた!?はぁ!?なんで俺がッ」
「嫌われない自信がある方がおかしいと思いますけどね」
海の事となると気持ち悪くなる男だ。いつか嫌われるだろうと思っていたのだがこんなにも早く見限られるとは。
これは暫くからかって遊べそうだ。
「それで?何したんです?海さんが嫌がるなんて相当ですよ。まさか無理矢理襲ったとか……」
「そんな事するわけねぇだろうが!!ただ、その……」
「その、なんですか」
「なんか悩んでたみたいだから聞いてやろうとしたら拒否られた」
「海さんが悩みを?」
「ああ。クソ野郎の家の下に懺悔室ってのが出来ててな。そこから海が出てきやがった。聞いてみたら相談事してたっていうから、それなら聞いてやるって言ったんだよ」
"聞いてやる"では嫌われるに決まっているだろう。なんでこの男は上から言ったんだ。普通に話を聞こうか?と言えばよかったのに。
恋愛下手というよりコミュニケーション下手なのではないか?
「それで海さんに嫌われたんですか。自業自得ですね」
「なんでだよ!ただ話聞いてやろうとしただけだろうが!」
「それがダメなんですよ。だから旦那に取られたんじゃないんですか?」
「ぐっ……今はアイツ関係ねぇだろ」
「関係ありますよ。旦那だったらそんな聞き方しやせん」
あの人は海の事をよく見ている。自分たちが気づかない些細な仕草で海の感情を汲み取るのだ。
海との付き合いは長いと思っているが、それでも銀時には勝てない。
それは土方も分かっていることだろう。
「(歪んだ愛情にならなきゃいいですけど)」
海の事を思いすぎて変なことをしなければいい。そうなったら嫌われるどころの話ではなくなるから。
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