第230幕
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懺悔室から出た先には土方が立っていた。相手もそんな所から海が出てくるとは思っていなくて、吸っていた煙草を足元にぽとりと落として驚きの表情。
「なんでテメェがここにいんだよ」
『懺悔室なんてもんがあったから』
「懺悔する事なんかねぇだろ」
『懺悔することはなくても相談くらいはと』
「……なんの相談だ。俺らには話せないようなことなのか」
驚きの顔から一変、土方は不機嫌そうに顔を歪ませる。
『まぁ……なんというか』
話せない内容では無い。でも、なんとなく恥ずかしくて口ごもってしまった。
そんな海に土方は益々不機嫌になっていく。
「見ず知らずの人間には話せても、上司には話せないってか」
『別にそういうわけじゃねぇよ。つか、そういう話があってもいいだろ。知らねぇ人間だからこそ話せるものもあるんだから』
「自分のことを知りもしねぇやつによく相談なんて出来るな」
『第三者の意見ってのも大切だろうが』
なんでここまで言われなきゃならないんだ。土方の機嫌が悪くなった理由も分からないし、責められる理由も分からない。
「なんの相談したんだよ」
『もう解決したからお前に言う必要は無い』
「あ?解決しただ?」
解決した事が気に食わないとでも言いたいのか、眉間に皺を寄せて睨まれる。その顔にイラッとして海も土方を睨み返した。
『上司だからって部下のプライバシーを侵害していいわけじゃねぇからな』
これ以上踏み込んでくるなと付け足し、海は土方に背を向けた。
このまま屯所に帰る気分にもならない。そう思って万事屋へと続く階段を駆け上がる。戸を開ける前にちらりと下を覗いてみると、煙草を握りつぶしながら懺悔室へと入っていく土方の姿が見えた。
まさか中の人間に聞くわけでもあるまい。管理人だって誰かに話すことはないだろう。
『うぜぇ』
なんとなく、子供が親に反抗する気分が分かったような分からないような。
そんな気分。
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