第204幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「コホンッ」
海と銀時の間の微妙な空気を打ち消すような月詠がわざとらしい咳払いをした。
『そんなことよりだ。そよ姫様、これ以上はお連れすることは出来ません。何処か安全な場所へ行きましょう』
さっきはなんとか兵士たちを撒くことが出来た。でも、次も出来るとは限らない。姫様を奪い取ろうとしてくる兵士と戦うことになるかもしれない。そうなったら守るのは難しくなる。
「お願いします。私も最後まで手伝わせて。何も知らなかったとはいえ、じいやを城に縛り付けていたのは私です。じいやは私なんかよりずっとここから出たかったでしょうに。なのに私は何も気づいてあげられなくて守ってもらってばっかりで……だから今度はじいやの力になってあげたいんです。どんなにはしたないって叱られても」
「そよちゃん……」
そよ姫の決意は固く、誰に言われても最後まで付き合うと言って海の言葉を拒否した。
「どうすんだよ」
『気絶させてどこかに置いてくる』
「もっとなんかねぇのかよ」
『その方が手っ取り早いだろ。神楽や新八ならまだしもそよ姫様は人が斬られるところを見たことがないはずだ。そんな子を連れていけるか』
子供にはなるべく汚いところを見せたくない。その為にはそよ姫はここから退場してもらうしかないのだ。
そう思ってそよ姫に近づいた途端、彼女は階段の方へと走り出した。
『そよ姫様!』
そして海が手を出す間もなくそよ姫は勝手に気絶した。
「ちょっと海くん、気が早すぎるんじゃないの?」
『いや、俺やってな……』
「確かにこの方が楽じゃが、これはちとやり過ぎじゃないか?」
『だから俺はやってないって言ってんだろうが!』
そよ姫は勝手に一人で転んで階段に頭を打って倒れた。なのに月詠と銀時は海がそよ姫を突き飛ばしたと見ている。
『やってないって言ってんだろうが!!!』
「ぷぷぷー、さっきまで姫さん気絶させた方がいいとか言ってた奴がそんなこと言うんですかー?」
『てめぇ定定の前にシバくぞ』
「二人とも喧嘩してないでくださいよ!!アレ見てください!!兵士たちが来てるんです!!」
「俺たち何もしてないしー?海がやったんだから海が行けばよくなーい?」
「銀さん!!そんなこと言ってないで──」
『そうか。わかった。定定の前にあいつら片付ければいいんだな?久方ぶりに人を斬るから肩慣らしだ』
「ちょっと!!銀さんが変な事言うから海さんが殺気立ってるじゃないですか!!!!」
「人を斬るのは私の役目。貴方は引っ込んでて」
兵士たちを前にして刀を取り出す海の横へと信女を並ぶ。互いによく分からない牽制をしながら敵陣へと突っ込んで行った。
.