第228幕
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「海くん!私はあなたの母親なのよ!?それに私が死んだら朔夜が悲しむわ!!」
処刑の順番は役人たちが決めたらしく、妻の方を先に斬首して欲しいと言われた。
渡された刀を鞘から抜き、喚き散らしている妻の側へと歩み寄る。
「私は何もしてないの!全部この人が勝手にやったことなのよ!!」
だから助けて欲しいと懇願してくる女にかける言葉なんてない。首を斬られまいと暴れ始め、そばに居た役人が押さえつけようと手を伸ばした瞬間。
「お……お見事……」
『褒めるものじゃないだろ』
「す、すみません……」
どさりと倒れる胴体と地面を転がる首。
動き回るヤツの首を斬ることには慣れている。戦場ではみんながみんな大人しく首を斬られるのを待っているわけではないから。
女の方が済み、次は西ノ宮の番となる。妻の首が斬られたというのに西ノ宮は何も言わずただ俯いているだけ。
『あの世で詫びるといい。お前のせいで犠牲になった人達に』
「詫びる?何故私がそんな下等なことをしなければいけないんだい?」
『あぁ、お前はそういう奴だったな。死んでもてめぇの顔見なきゃいけないなんて可哀想だわ。お前はそのまま地獄に落ちればいい』
「酷い言われようだ。でもね、海。君は私の息子だ。それは変わらない」
『何が言いたい』
西ノ宮は不気味な笑みを浮かべながら海を見上げた。
「お前には私の血が流れているんだ。きっと同じ道を辿る。今は斬る側でも、いつかは斬られる側になるんだよ」
『残念だが、お前みたいにクソみてぇな罪を犯すつもりはない』
「嘘ばっかり。今だってしてるじゃないか。周りに嘘をついて生きているなんて……さぞ辛いだろうね」
──元攘夷志士さん。
海にだけ聞こえる声量で呟いて西ノ宮はにんまりと笑った。
『そんな事どうでもいい』
転がる首に向けて海は吐き捨てるように返した。
「桜樹さん、後のことは我々で処理しますので──」
「海!!!」
役人に刀を返そうとしたとき、聞き慣れた声に名前を呼ばれて後ろを振り返る。近くにある橋の上にいる銀髪は囚人服姿でこちらを見ていた。
『銀時……?』
「そこから動くんじゃねぇ!!」
声から伝わってくる怒り。
『誰がアイツに喋ったんだよ……』
めんどくさいやつが来てしまった。こうなるのが嫌だから黙っていたのに誰がアイツにバラしたんだ。
蹴つまづきながらもこちらへと走ってくる銀時。もうこうなったら隠しようがない。今できることはなるべく西ノ宮の首を銀時に見せないようにすること。
『俺はもう必要ないだろ?首の方は適当に処理してくれて構わない』
「わかりました。後ほど書類を真選組の方に送らせます」
『分かった』
役人との会話を手短に済ませ、銀時の方へと足を向けたのだが、誰かに腕を掴まれてこの場を去ることを阻まれた。
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