第227幕
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「海さん」
銀時に焚き付けられた朝右衛門は刀を手にして飛び出していった。その目にはもう迷いはなく、ただ夜右衛門を討つことに集中して。
『なんだ』
「あなた不器用って言われませんか?」
『ないけど』
「あんな言い方ないと思いますけど」
『仕方ないだろ。先代夜右衛門と朝右衛門の関係なんてほぼ知らねぇし。変なこと言ったらヘコむだろ』
「だからって泣き虫はないと思いますけど」
『……む』
いつまでも動き出さない朝右衛門に向けて海は泣き虫と言い放った。彼女はムッとした顔で海を睨み、怒りに任せて部屋を出た。
「女はめそめそ泣くもんですよ」
『泣き止ませる方法なんて知らねぇし』
「朔夜が泣いてたらどうするんです?」
『そりゃ泣いてる理由聞いて、泣き止むまでそばに居る』
「何でそれが他の奴には出来ないんですかねぇ」
『は?』
なんだそんなめんどくさい事をしなくちゃいけないんだ。朔夜は弟だから当然のことだと思ってやる。でも、朝右衛門は自分とは何の関係もない。友人でもなければ顔見知りだったというわけでもなく、今日会った役人というくらいだ。
「海さんは女子供には無条件で優しくすると思ってましたが」
『人と場合による。今は優しく諭してる暇なんてないだろ』
「荒療治ってやつですかい?」
『別にそういうわけじゃ……』
「ほんと不器用ですね。これならまだ旦那の方が素直だと思いますよ」
『銀時は真っ直ぐ過ぎるだけだろ』
時折、その真っ直ぐさが眩しくて目を背けてしまうけれど。
「海さん、俺は今でも反対ですよ」
『今関係ないだろ』
「あるじゃないですか。だからさっきあんなに怒って──」
『関係ない。朝右衛門と俺とじゃ違う』
それ以上言うなと圧をかけるように総悟を睨む。
「……近藤さんと土方さんだって反対してますよ」
『しつこい。今はそんな話してる場合じゃない』
「なら後で言います。海さんがやめるって言うまで」
勝手にしろ、と言い残して海は表へと歩みを進める。
今は自分のことより夜右衛門だ。一橋と手を組んだ人間の末路をこの目でしっかりと見届けなくては。
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