第227幕
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『悪いが、こいつらをお前らに渡すつもりはない』
部屋に来たのは一橋の人間ら。
大方、銀時と朝右衛門の首を取りに来たのだろう。
「ふん。それはお前らが決めることでは無い。この船にある死体は試し斬りをするためのものだ」
『それ。俺あんま好きじゃねぇんだよな』
死んだ人間を切り刻む趣味など海にはない。
死体を弄ぶという行為については過去に嫌な思い出がある。だからあまり関わりたくない。
『この場から立ち去れ』
「誰が貴様の言葉など聞くか。死神よ、その者どもを斬り捨てよ。我々に与すれば池田家の次期幕閣の地位も安泰。この件も闇に葬ることができる。そのために育ての親の首まで斬り捨てたのであろう?」
『……お前らの都合でこの子の手を何度汚させる気だ』
ポロポロと涙を流す朝右衛門を見てプツリと切れた。
それは海だけではなく、黙って聞いていた銀時も同じで。
「何をしている。早く斬れ。あまたの罪人の首を斬ってきた死神の剣、見せてみよ。何を戸惑うことがあろうか。親の首を斬ったそなたの剣はとっくに汚れていよ……がっ!」
ベラベラと喋っていた男の口へと突き入れられたのは銀時の木刀。
「てめーか。今、くせえ口で喋ったヤツは。こいつの剣のどこが汚れてる。死神なんざどこにいる。目ん玉ひんむいてよく見てみろ」
「きっ……貴様!」
「死神ならここにいるぜ。ブタども」
『どうするんだよあれ』
「さあ。海さんなら止められるんじゃないんですか?」
ブチ切れた銀時はそのまま武士たちを殴り倒し、部屋の外へと向かう。その後を新八達も追っていき、部屋に残ったのは海と総悟、そして俯いている朝右衛門。
『俺が止めると思ってんのか?』
「いえ。思いやせん」
怒っているのは海も同じだ。でも、表立って動けない以上、この怒りは押し殺すしかない。それを知ってか知らずか、銀時は目の前にいた奴らを蹴散らしていった。
『頼りになるんだかなんだか』
「海さんが旦那を頼らないなんてことあるんですか?こういう事が起きた時、毎回旦那と一緒にいるじゃないですか」
『一緒にいるだけで頼ってるわけじゃない。つか、アイツが変なことに首を突っ込みすぎてるんだろ』
問題事がある時は大抵、銀時が関わっている。不可抗力で巻き込まれた事もあるのかもしれないが、その殆どは自ら首を突っ込んでいるのだ。辛い目にあっている人を放っておけないというのもあるのだろうけど。
『それで?お前はここでズビズビ泣いてるだけか?』
「あ……」
『本来はお前がどうにかしなくちゃいけない事をアイツが代わりにやってるんだ。全部人に任せて自分はここでめそめそしてるつもりか?』
励ますなんて海には向いていない。元気づけて背中を押すなんてめんどくさい事をやるくらいなら見て見ぬふりをした方が楽だ。
「私は……」
『自分で考えろ。道は作ってもらってるんだから』
先陣切って銀時が矢面に出てくれている。朝右衛門をコケにした連中を一人残らず。
『親殺しなんて今どき流行らねぇよ。あんたがやったのはただの人殺しじゃない。信念を持って斬ったんだ。今更それが間違いだったなんて思うのか?自分はただの死神だなんて』
「でも……」
『斬った事を正当化しろって言ってるんじゃない。でも、それを罪だと言われて後ろ指差されるのも嫌だろ』
一橋のやつらは朝右衛門の剣を汚れていると口走った。それは単に罪人たちの血で汚れているという意味じゃない。親を自らの手で殺した子供。侮蔑の意味での発言だ。
そんなの……。
『うるせえって言っとけ。アイツらにはなんも関係ないことだ』
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