第204幕
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「エヘッ、うまくいったねー」
「何も上手くいってないっす姫様」
『そう落ち込むなよ。やっちまったもんは仕方ないだろ?』
「なんでそんなに気楽なんですか!!」
楽しそうにはしゃぐそよ姫と人生の崖っぷちに立たされたかのような顔をする新八。慰めようと声をかけたのだが、それは逆に新八の怒りを買ってしまった。
「大体なんで姫様もいるんですか!なんで連れてきたんですか!!」
『それは知らん。誰も気づいてなかったんだろ?』
「海さんは気づいてたんじゃないんですか!?」
『知ってた。でも、誰も何も言わねぇからいいかなと』
「良くないですよ!!言ってくださいよ!!僕達は海さんみたいに気配を察知できないんですから!」
「まぁまぁ落ち着けよ新八。こいつは危機感とかそういうのねぇよ。これから大事起こそうとしてんのはこいつだから。姫さんよりこいつ何とかしねぇとマジで俺ら首飛ぶからね?」
銀時にジト目で見られた海はふいっと目を逸らして明後日の方を向いた。
「少しは穏便に済ませようとは思わないわけ?」
『ここまでやっといて何が穏便にだ。それにお前もあいつを目の前にしたらそんな事言えなくなる』
「そこまでやるもんかね」
『あぁ、今すぐにでもあいつの首を城の前に晒したいくらいにはな』
「お前がそこまで憎む理由がわかんねぇんだけど」
『分からなくていい』
「なにそれ」
『俺だって調べなければわからなかった。真選組になって、この地位になって知ったんだよ』
将軍や幕府の官僚たちと関係を持ったことによって嫌でも海の耳に入ってきた。知りたくもないようなことが無理矢理頭にねじ込まれていく。最初の頃は今すぐ全員始末してやろうと目論んでいた。だが、真選組の立場を考えたら何も出来なかったのだ。
『俺一人じゃ何も出来ないって痛感したわ』
「海……?」
何もしないで何年も経った。定定や他の官僚連中を目にする度に腸が煮えくり返る思いをしながら愛想笑いを浮かべなるべく彼らの目に留まることのないように振るい続け、今ようやくあの男の首に手をかけられるところまできている。
このチャンスを逃したらもう二度と来ないだろう。
「海、お前……何がしたいの?」
銀時の問いに薄ら笑いを浮かべる。
『何って……そりゃ……』
幕府の崩壊。なんて冗談交じりに呟くと、銀時は悲しげな表情した。
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