第226幕
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『ここから早く立ち去れ。朝右衛門を連れていくなり置いていくなり勝手にしろ』
「どういうことですか!ちゃんと説明してください!」
痛む頭を擦りながら新八は海へと投げかける。
『お前らは夜右衛門から依頼を受けた時点で嵌められてたんだよ』
「嵌められてた?」
「どういうことアルか?」
『ここ最近、江戸で辻斬り騒ぎが起きているのは知っているな?』
「はい。えっと……首を斬られて……」
『この死体は全て……攘夷戦争終結後、粛清されるはずだった人間だ』
昔であれば彼らのことを仲間と呼んでいたのかもしれない。もしかしたら海の事を知っていたやつがこの中に居たかもしれないと思うと、なんとも言えない思いにかられる。
「それとどういう関係があるんですか?」
『こいつらは一橋の顔に泥を塗った。その結果、終戦後に本人は無論のこと家族やその関係者らが粛清の対象になった』
戦時中も酷かったが、終戦後したあとも地獄のようなものだった。戦争に参加したものは片っ端から引っ張りだされては処罰が下され、その首が道端に晒される。
中には参加した者の妻や子供までもが処罰の対象となり無惨にも殺されていった。
『その惨状に誰も異を唱えることが出来なかった。そんな中、処刑を控えていた囚人を極秘で逃がしている者がいた。それが首斬り役人、先代の池田 夜右衛門だ』
「その夜右衛門が殺され、夜右衛門に救われた連中も倒れていってるってなぁ。どーいうことだ」
海の元へと歩み寄ってきた総悟は桶の蓋を開けて中にいる人間を見下ろす。そこには見慣れた顔の男とドクロの仮面を付けた女。
「つまり旦那、アンタらの首と先代夜右衛門の首は売られたんでさぁ。次期将軍を噂される一橋喜々に取り入るため……あの死神に」
「一橋に売られた?それは一体どういうことですか?」
『やられたらやり返す、倍返しだ。ってやつだな』
「いや、海さんそれ古いです。それに端折りすぎてて分かりませんよ」
『要は一橋は過去に逃げ仰せた罪人たちを処理したかった。その罪人を逃がした先代夜右衛門も。そこに今の夜右衛門が名乗りを上げたんだよ』
過去の汚点を払拭することで一橋に取り入る。このまま一橋が力を持ち、将軍の座までいけば池田家は安泰となる。
『所詮、駒に過ぎねぇんだろうけど』
一橋が池田家を野放しにしておくはずがない。利用するだけ利用して用済みとなったら即、手を切るはずだ。
それを夜右衛門が勘づいているかは知らないが。
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