第225幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そんなことより……お前、大丈夫なのか?」
総悟たちを眺めながら煙草を吹かしていた土方が唐突に話を変えた。土方が何の話をしているのかはすぐに分かったが、海は素知らぬふうな態度で軽く返す。
『何が?別に何もねぇけど』
「何がじゃねぇだろうが。池田は辻斬りの件だけでウチに来たんじゃねぇ。お前らの親父を……」
『漸くケリがつくんだ。良かったじゃねぇか』
父親の処刑が決まって落ち込んでいるとでも思ったのか、心配げな表情を浮かべる土方にへらりと笑ってみせる。
『俺以上にヤツに死んで欲しいと思ってる人がいるんだよ』
「そりゃそうかもしんねぇけど……朔夜はどうなんだよ」
『何も。処刑が決まったって話は一緒に聞いたが、あいつは何も言わなかった。朔夜の方が西ノ宮と一緒にいた時間が長いから何かしら言うのかと思ったけど……何も』
処刑に関して喜ぶわけでもなく、文句を言う訳でもない朔夜はただ黙って話を聞いていた。
処刑の立ち会いは海がすることになり、朔夜は屯所で留守番。
極悪人といえども西ノ宮夫妻は朔夜の両親だ。親が処刑される姿なんて見たくはないだろう。それにきっと命乞いをされるはずだ。自分であれば無視できるが、朔夜はきっと声を出してしまうだろう。
彼らには自身が犯した罪をしっかり背負って潔く死んでもらいたい。
それが海の望みでもあり、西ノ宮に人生を狂わされた人たちの願いだ。
「その……予定されてる日は俺も……」
『ついてこなくていい。近藤さんにも総悟にも言ってある。俺一人で十分だ』
土方に言われる前に二人から声をかけられていた。一人で見るのはキツイだろうから共について行こうと。彼らが心配してくれているのは分かっていたが、海は首を横に振って断った。
「一人で平気なのかよ」
『ゾロゾロ連れていったって邪魔になるだけだろ。それに人が殺されるところなんて見るもんじゃねぇよ』
だから一人で行く、と言った海に土方はまだ納得がいかない様子だったが、それ以上はもう聞かないと話を断ち切った。
『その話より今は辻斬りの方が問題だろ。これ以上、犠牲者が出たら厄介だ』
また前みたいに見回りの頻度を増やしたりなんやらと対策を講じなくてはいけなくなる。隊士たちの負担が増える前に犯人を捕まえなくては。
『まったく……面倒事ばっかり起きやがって』
.