第225幕
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処刑の報告を受けた翌日、海は夜右衛門と共に辻斬りの現場へと向かっていた。
『今回起きてる辻斬り。とても特殊な斬り方をされてる』
何度も辻斬りの現場を見たことはあるが、今回起きた辻斬りは今までのものとは違う。
胴体の無駄な外傷はなく、首に一太刀。しかも完全に斬り落とされている状態ではない。綺麗に斬られている為、傷口が癒着していた。そんなやり方、並の浪人では出来ない技だ。
首をはねたことがある海にだって出来はしないだろう。
『あんた何か知ってるんじゃないのか?』
「それは私たち池田家を疑っている、ということですか?」
『そういう風にもとれるな』
「ふふ……副長さんと違って副長補佐は素直ですね」
夜右衛門が屯所に来たのは西ノ宮の処刑を告げに来ただけではない。
件の事件の手口が池田家の剣さばきに酷似しているという理由で彼が表に出てきた。幕府お抱えの処刑一族である彼に疑いの目を向けるのは間違いなのだろうが万が一という可能性がある。
だから夜右衛門から目を離すなと土方から仰せつかっていた。
「そうですね。確かにあの斬り方は我々、池田家の手法です。ですが、あの斬り方を出来るのは先代の夜右衛門と私、そして──」
「やっと来たか。遅ぇんだよ。また迷子になってたとは言わせぇぞ」
夜右衛門の言葉を遮るように土方の声が聞こえてハッと我に返る。話に集中しすぎていたせいで現場に着いていたことに気づくのが遅れた。
夜右衛門は総悟と共に死体を見に行き、海は土方の横に立つ。
「何か聞き出せたか?」
『何も。辻斬りのやり口が自分ちのやり方と同じだってのは認めたが、犯行を仄めかすようなことは一切喋ってない』
「あんなマネ出来んのは限られてるだろうが」
『証拠がなければ捕まえられない。疑わしきは罰せずっていうだろ』
夜右衛門が確実に事件に関わっていると証明出来るものがあるならまだしも、同じ技が使えるというだけで犯罪者扱いは出来ない。
土方が感じているもどかしさは理解できるが、こればっかしはどうしようもなかった。
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