第202幕
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「佐々木がやられた。まぁ、殿中に賊の侵入を許したヤツの首はどのみち飛んでただろうな」
殿中守護にあたっていた見廻組のトップ、佐々木異三郎が警備中に侵入してきた賊によって刺された。
今は病院にて緊急治療中。怪我の具合はよく分かってはいないが、どうやら刺傷だけでなく毒まで使用されていたため治療が難航しているとの話は聞いた。
「見廻組は即、殿中守護の任を解任。お取り潰しも時間の問題だろうよ」
『そのせいで俺たちが後釜についたってわけか。めんどくせぇ』
殿中守護の任を承ってしまった結果、海たち真選組は江戸の治安維持の仕事と警備の仕事両方を担っている。どちらも手を抜くことを許されない状況で、部下たちの疲労もかなりのものだろう。
『手っ取り早く侵入者捕獲して吊るしあげればいいんだろ。そんなもん一週間とかからねぇよ。一人見つければ後は芋ずる式で出てくる』
「最近のお前やけに血の気が多くねぇか?」
「それ俺も思うわ。なんか海くん体育祭前夜の男子高校生みたいじゃないか?」
「その例えはよく分かんねぇけど……。とりあえず俺たちが任せられたのは殿中の守護だ。賊が侵入してきたらそいつらを捕まえる。それだけだ」
あくまで任せられたことだけを遂行すると言う土方に海は不服げな顔色を示す。そんなまどろっこしい事をしなくても、捕まえた賊を拷問して主犯の組織を吐かせればいい。この手の方法は自分がよく知っているしやり慣れている。近藤がやれと一言言ってくれればすぐさま実行出来るというのに。
『保守的すぎる』
「え?なに?海くん何か言った?」
『何も。それよりなんか臭うな』
ふわっと風が吹いた瞬間、嫌な匂いが鼻をついた。臭いの先はまさかの近藤。
「え!?」
「確かにくせぇ」
「えっ臭い!?何が!?」
「くだんの幕臣連続暗殺事件の下手人。上はろくな取り調べもなしに明朝処刑するなんぞとのたまわってる。何かを揉み潰そうとしてるようにしか思えねぇ……ん?」
真剣な眼差しで城を見つめる土方に海は呆れ紛れのため息を零した。
『お前さ頭はキレるのにたまに鈍いところがあるよな。特に嗅覚に関しては』
「あ?何が言いてぇんだよ」
『いや、何も』
「てめぇさっきからそればっかじゃねぇか。言いたいことがあんならはっきり言え」
近藤がおならをしたせいで臭う。と言ったら土方はなんと言うだろうか。今回の一件を怪しいと睨んでいる土方の横で近藤は必死におならをしたことを隠そうと必死になっていた、と言ったら何を思うのか。
『何も』
「だからてめぇはさっきから何なんだ!!!」
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