『銀時？』


｢は！？なんでここにお前がいるわけ！？｣


朱雀が飛んで行った先にいたのは万事屋メンバー。
道の真ん中で棒立ちしていた彼らに声をかけると、いち早く銀時がこちらを振り返った。


『ちょっと頼まれごとをな？』


｢頼まれ事でこんなところに来るのかよ！つか、ここにどうやって……！｣


｢キュイイ｣


｢あ！？｣


｢わっ、なんですかこの鳥！｣


｢綺麗な鳥アル！｣


｢お前、確か海の！｣


『式神、だな。結野アナに贈り物がしたいんだって俺のところに飛んできたんだよ』


一連の出来事を銀時に説明すると、銀時は｢お前もかよ！｣と叫んだ。


｢俺のところにも外道丸が来たんだよ。もう帰っちまったけど｣


『式神総出でプレゼント探しか。随分と式神たちに愛されてるんだな、結野アナは』


｢そりゃ結野アナだからな！式神にも人間にも愛されてるだろ！｣


何故か銀時はふふんっと得意げに話し、後ろにいる新八と神楽は銀時をこれでもかと睨んでいた。


『そんで？そっちは見つかったのか？』


｢あー、見つかったんじゃねぇの？自分で探して贈るって言ってたからよ｣


どうやら銀時の方で何かあったらしい。優しげに微笑む銀時の姿に海は何となくだが、今日一日何があったかを察した。


｢で？そっちは見つかったのか？｣


『さぁ？探している、というよりも……』


海はそこで言葉を区切って、ちらりと朱雀の方を見やる。神楽と新八に構ってもらえて嬉しそう飛び回っていた。プレゼントを探しに来たというよりは、遊びに来たといったほうがしっくりくる。


『朱雀がプレゼントを贈る、というより、朱雀がプレゼントをもらっている。の方が正しい気がしてな』


｢なんだそれ。こいつは結野アナにプレゼントを贈りたいんじゃないのかよ｣


『朱雀はそう思ってるだろうな。でも、結野アナは逆なんじゃないか？』


四神なんてそう簡単に呼び出せるものじゃない。結野アナも朱雀を呼び出すのに苦労をすると言っていた。だから朱雀は基本的に呼び出されるようなことは無いと。外道丸のように自由に動き回れない朱雀は常に結野アナの元で大人しく呼び出される日が来るのを待っているのだ。


もし、結野アナがその事を不憫に思っていたなら。
朱雀を外に出してあげたいと思っていたとしたら。


今はその願いが叶う時でもある。海という第二の契約者がいる今なら、朱雀を自由にしてやる事ができると。


『俺はそう思うんだけど……』


｢なるほどね｣


朱雀のプレゼント選びに付き合うというより、朱雀のお守りをしているというのが海の考えだった。


｢良かったんじゃねぇの？ずっと閉じこもってるより、こうして飛び回れてよ｣


鳥は自由に飛び回るのが一番だ。そう言った銀時は微笑ましそうに朱雀を見つめていた。


『ところで、銀時』


｢ん？｣


『あれはなんだ？』


｢あれ？｣


すっと指差した方には一体の巨人。


｢アッ！｣


『……お前たち何したんだよ』


どうやらあの巨人は銀時立ちを探しているらしく、こちらへとズンズン歩いてくる。人間を殺せ！と言いながらこちらへと歩み寄って来ている巨人の目は怒りに燃えていた。


｢え、あ、ちょ、海さん……手ェ貸してくんない？？｣


『断る』


面倒事に巻き込まれるのはごめんだ。そう言い残して海は朱雀を連れてその場から逃げ出した。後ろから銀時の悲鳴が聞こえた気がしたが、全力で無視した。


『まぁ、頑張れ。うん』




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