第192幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「要するに何?素敵な贈り物って……お前?」
「贈り物ではございやせん。帰ってきただけでござんす。言ったでしょ。契約により銀時様はあっしのもう一人のあるじなんだと。実家に帰ってきたようなもんでござんす。どうぞ気を遣わずに我が家だと思って気楽にしてください」
そう言って外道丸は煎餅を貪りながらソファに横になる。その姿はまるでテレビを見ながら寛いでいる主婦のようだった。
「いや、それあるじのセリフ!」
「あっ、ひょっとして朝ごはんの最中でした?すいやせん。そんなつもりじゃなかったけど、なんかねだりに来たみたいで。じゃあ、遠慮なくいただきやす」
「そっち朝ごはん違う!」
朝ごはんを食べていた定春をガシッと掴んだ外道丸は大きく口を開けて定春を食そうとし、銀時は慌てて止めに入る。
「やめろ!そいつ食ったら海が泣くだろうが!」
海の名前を聞いた外道丸はピタリと動きを止めて銀時の方を見やる。その間に定春は神楽たちが座っているソファの裏へと逃げた。
「海様はお元気でござんすか?」
「あ?あぁ、元気だけど?」
なんら変わりはないと答えた銀時に外道丸は表情を変えずにこくりと頷く。
「大体、お前何しに来たんだよ。人んちのテレビぶっ壊しやがって!用がないなら帰れ!テレビ弁償して帰れ!あるじの命令だ!」
「じゃあ、ここに銀時様の判を押してもらえれば、あとは弁護士がやりやっす。慰謝料のほうは二億くらいでどうですか?」
外道丸が胸元から出したのは一枚の紙切れ。式神解約届と書かれた紙には、外道丸のサインと判子。その下に銀時の名前と判を押す場所があり、その空欄に判を押してもらえれば契約を解除できると外道丸は呟く。その代わり、慰謝料はがっぽりともらっていくと付け足して。
「なんで離婚届みたいになってんの!?こいつとんだ式神詐欺だよ!」
「残念でございやす。今日はクリステル様を喜ばせるためにきたのに。はーあ、あっしに協力してくれれば、きっとクリステル様もベタぼれ間違いなしだったのになー……銀時様が協力してくれないと言うなら、別の人間に手伝ってもらうしかないなー」
わざとらしい言い方で外道丸は玄関の方へと歩き出す。その後を銀時は必死になって追いかけていき、外道丸と共に外へと出ていった。
「……なんか、めんどくさいんだけど」
「めんどくさいのはいつものことアル。でも今日は一段とめんどくさいネ」
「そうだね……今すごく海さんに会いたい気がする」
「私もヨ」
残された新八と神楽は玄関の方を向いて深く溜息をつき、銀時たちの後を追うべく重たい腰を上げた。
.