第192幕
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"今日はこの冬一番の冷え込みになるでしょう。皆さん、クリスマス前に風邪をひかぬよう暖かい格好でお出かけくださいね"
「はーい!!」
"それでは今日も一日元気に行ってらっしゃーい!"
「行ってきまーす!」
テレビ画面では結野アナが満面の笑みで、これから仕事などに向かう人達に向けて行ってらっしゃいと声をかける中、万事屋の店主である銀時は寝巻き姿のまま歯を磨いていた。
そんな姿を冷めた目つきで見る神楽と新八。
「新八ィ、これって浮気じゃないのかヨ」
「浮気でいいんじゃないかな。うん」
浮ついた心で結野アナを見ているのは事実だ。海がいるにも関わず、銀時は結野アナに熱い眼差しを送っているのだから。
「銀さん、そんなことしてたらまた海さんに呆れられますよ」
「何言ってやがんだ!結野アナは特別なんだよ!海とは違う意味で好きなんだよ!」
「それを浮気って言うんじゃないのかヨ」
「おこちゃまには分からねぇの!」
銀時はテレビに齧り付くようにして結野アナを見つめ、デレッとした気持ち悪い笑みを浮かべる。
「海さんに殴られればいいのに」
「ダメアル。殴っただけじゃ銀ちゃんは直らないネ。一回死なないと」
「そうだね。痛い目見ないとこの人は一生直らないね」
これまで何度も海と喧嘩をしているというのに、銀時は飽きもせずにあっちへふらふら、こっちへふらふらとしている。そんな姿を間近で見ている新八と神楽は海に対して憐憫の思いだった。
"それじゃあ、今日のブラック星座占いでーす。今日一番ツイているのは……てんびん座のあなたです"
「えっ」
"特に天然パーマでアホ面で今、歯を磨いてるそこのあなた!"
的確すぎる占いに新八と神楽は顔を見合わせる。結野アナがこちらを"見て"いるのではないかと思い、二人は部屋の中をキョロキョロと見渡した。
「お……おい、ほら見ろ!これ俺だろ!完全に俺、ピンポイントだろ」
"今日は素敵な贈り物があるかもでーす。楽しみにしていてください"
「お……贈り物?ひょっとしてラブ……ラブレターとか……!?」
「新八ィ!!もうあいつダメアル!海に言いつけて別れさせた方がいいヨ!!」
「うん。僕もそう思うよ」
テレビに釘付けになっている銀時の後ろで、神楽と新八は怒りに震えながら拳を固く握る。この男をどうにかしなければ、海は不幸になってしまう。今のうちに別れさせなければ。
そう二人は決意して頷きあった。
"ちなみに運を向上させるラッキーアイテムは真っ赤な……"
「うんうん。真っ赤な?」
テレビとの距離はゼロセンチ。食い入るというよりも、テレビと合体するのではないかというほど銀時はくっついている。
そんな彼の顔面へと突き刺さる謎の棒。それはテレビの画面から突き出てきた。
「金棒でござんす」
勢いよく血を吹き出しながら銀時は倒れ、新八は口をあんぐりと開ける。テレビの中からのっそりと現れた少女。彼女は自分と同じくらいの金棒を肩に担ぎ、無表情で新八たちへと手を上げた。
「お久しぶりでござんす。銀時様」
「外道丸さん!」
彼女は結野衆と巳厘野衆の争いの時に手を貸してくれた式神、外道丸。名を呼ばれた外道丸は気だるそうに新八と神楽に挨拶をして、倒れている銀時のことを冷めた目で眺めた。
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