第191幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「落ち着いたか?海」
『すみません』
「いや、いいんだ。佐々木局長に怒りたい気持ちは分からなくないからな。ただ、海にしては珍しいな。あんなに怒鳴るなんてよ」
『……すみません』
佐々木を見送った後、近藤に宥められたおかげで幾分かは落ち着いた。胸の内に残る蟠りは依然として海を苦しめていたが、今できることは何も無い。佐々木が晋助と接点があるということくらいで、それ以上のことを確認しようがない。二人が協力関係にあるのか、それとも敵対しているのかは分からないのだ。
ただ、佐々木のあの言い方では後者はないような気がする。
何度も謝り続け、深く考え込む海に近藤は苦笑し、俯く海の頭を乱暴に撫でた。
「考え込みすぎるとハゲちまうぞ?」
『それはちょっと』
「はははっ!だろ?だから考えるのはまた今度にしておけって!」
わしゃわしゃと撫で回されていくうちに、段々と悩んでいたのがバカバカしくなってきた。近藤の笑みにつられるように海も口元を緩めると、近藤は満足した顔で頭から手を離した。
「よし!大丈夫そうだな!」
『近藤さん見てたらなんか馬鹿らしくなって』
「うん?それどういう意味だ?」
『こんなに何も考えてない人が局長出来てるのに、副長補佐如きの俺がそんな悩まなくてもいいなって』
「あれ?俺今の褒められたの?貶されたの?え?海くん?え??」
『土方の怪我の具合見てきます』
涙目で海を見つめる近藤から逃げるようにその場を立ち去る。後ろで近藤が山崎に泣きついているのが聞こえたが。
『随分と派手なやられ方してるな』
「あ?てめぇ……」
近藤から少し離れたところに立っていた土方は、煙草をくわえて一息ついていた。佐々木との斬り合いで負った怪我はかなりのもの。早く手当てを受けろと土方に声をかけたのだが、土方は鼻で笑うだけでその場から動かなかった。
「……怪我は」
『それお前が聞くのかよ』
自分の方が酷い怪我をしているのに、海が怪我をしていないかと心配してくる土方に海は吹き出すように笑った。
「してんのか」
『かすり傷一つしてない。それより自分の心配をしろよ』
「こんなもんかすり傷だろ。気にすんな」
『地面を赤く染めながら言う言葉ではないな』
土方の足元には小さい血だまりができている。それを指差せば、土方はバツが悪いといったような顔を浮かべながら海から顔をそらした。
.